ゴウは、さっきボクの鎖を溶かしたナイフをそれぞれ人間に一人づつ持たせていく。
金色に輝くナイフがそれぞれの手に渡る。
「メギドの剣…これがこの世界に誕生した理由を元天使であるお前が知らないわけあるまい?」
『…!!』
メギドの剣…それは、人間の世界にはびこる悪魔を退治するために人間が作り出した悪魔払いの剣だ。
この剣には、7人の偉大なる力が封印れており、7人の人間が一人一本ずつ一匹の悪魔に7本のナイフが刺された時。人間界に契約途中の悪魔であっても魔界に帰還させることが出来る聖剣となっている。
「この金色のナイフで刺された悪魔は、魔界へと強制的に還すことが出来ます。」
ゴウが皆に手渡しながら、説明する。
「ただし、それには7人の人間が必要で、7本が刺さらない場合は、悪魔は人間の世界からいなくなりません。」
ナイフを配り終わったゴウは、自分が手本を見せるかのように、金色のナイフを元天使へと突き刺す。とくに血などは流れない。
人を刺す行為なのに、無表情なゴウはそれがさも簡単な作業のように思わせる。
「つまり、この剣を全員で刺し終わったら、地球滅亡は免れる。という仕組みですね。」
いったんルービックキューブをしまい、ナイフを見つめるナマセくん。
「ナマくん!ナマくん!私達、英雄になっちゃう?!」
アヒルは結局、異世界転生の英雄の気分のままいたのか、何故かワクワクとしている。
「まーそうですね。それ以外に道はないようです。」
ナマセくんとアヒルは二人で手を繋ぐと、元天使に近づき空いている手に持ったナイフで、二人は一緒に刺す。
少し悩んでいたナオくんも、決意したかのような顔で歩きだした。
「すいませんっ。ソクゴさんがいつも言っていたんです。ボクは嘘をつかないって…私はそれを信じます。」
両手で持っていたナイフを刺す。
「案内人の方に恨みはないのですが、ココまで来た意味はこのためなのかな?という事だと思うので、すいません。」
カワタくんもナイフを刺し、これで五本のナイフが刺さり終わる。
ここでボクは、ある人物に連絡をした。
「あー今ってどのへん?こっち来れる?お届けして欲しいものがあるんだけどー」
ボクはウーマーイーツに連絡した。
すぐさまリュックを背負ったウーマーの宅配員がやってきた。
「ムトウくんおつかれ!この商品をアチラの方にお届けしてほしいんだ。」
ボクは自分が持っているナイフを知り合いのウーマー員であるムトウ ユウに手渡した。
ムトウくんは、まるでピザの箱を差し出すときのようにナイフを元天使に突き刺した。
『……なっ……』
元天使は、この場に7人の人間がいないという事に安心していたようだ。
「ま、人間世界にはさーお金で簡単に動いてくれる人とかもいるわけよね」
ボクは、ムトウくんに多額のチップを送付しておいた。
それを確認したムトウくんは一礼をすると、また本来の仕事へと帰っていく。
最後の一人になった。
金色のナイフを見つめたまま、フジキくんは動けずにいた。
皆の期待を背負って、まさに勇者になれるというのに足を一歩も踏み出そうとしない。
「む、無理です…悪い人だと分かっていても、それでも人に剣をむけるなんてっっ」
善人はどこまでも善人だった。
「でも、このままじゃ地球がなくなっちゃうんですよ??!」
アヒルが焦ったようすで、フジキくんに訴える。
「でも…………オレには、出来ません!」
皆様おはようございます。瑠花です!
さて、段々と物語が終幕に近づいてきました。
さて、地球滅亡は免れるのか⁉︎
それでは次のお話まで、おつるか〜!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。