前の話
一覧へ
いつも通り仕事を終えて自分の車に乗る。
これもいつもの会話。
いや、任務が大変だったのは今日が24日だからであって、いつもはそうでもないけど。
助手席に乗るやいなや、だらりと全体重を預けて溶けた。
シートベルトした事を確認して、車を走らせる。
天気関係ないでしょ、なんて言って控えめに笑った。
私はいつも天使にひと口分けているから、つまるところいつもより多めに味を楽しめるってわけ。
嬉しいんだ。可愛いな〜。
そんなこんな話してる内にアイス屋に到着。
軽快な足取りで味を選びに行ったので、事前に予約しておいたケーキを取りに行く。
その間にも「わ〜…」と目を輝かせてショーケースを眺めている。
そんな表情を見たら明日の朝が楽しみで仕方なくなってきた。
密かに計画していた事。動機は数日前の会話。
街を歩いている時に、すれ違った親子の会話が聞こえた。
内容はサンタに何をお願いするか。
この時期らしい会話だな〜なんて思うと同時に懐かしく感じて、「天使はサンタに何頼んでた?」と話を振ってみた。
さも当たり前かのように言うので、「へえ」と流してしまうところだった。(天使にとっては当たり前で間違いないのだろうけど。)
そっか、貰ったことないのか…
悪魔だろうがなんだろうが、可愛い子はプレゼントを貰うべきだと思う。
だから私が、君にクリスマスを教えてあげるね。
元々渡そうと思ってたし、ちょっと渡し方が変わるだけなんだけど。
天使の衝撃的な一言を聞いた時のことを思い出しているあいだに選び終わったらしい。
天使が選んでない味で私が好きなものを3つ選んで、受け取ったら店を出る。
帰ってからはお風呂に入った後すぐにちょっと豪華な晩ご飯を作って食べて、ホールで買ったケーキを天使が二切れ、私は一切れ食べてから、欠かせないアイスタイムに入る。ひと口ずつシェアするこの時間が私は好き。
それから歯磨きさせて、自室に行ったことを確認して少し待つ。
天使はすぐ寝るし、一度寝たら中々起きないから、ドアを開けたら目が合って「あ」となる心配も無い。
でも念の為足音を控えめにしてベッドへ近ずいて、枕元…に置くと落とされそうなので、ベッド横の目覚まし時計があるところにプレゼントをそっと置く。
帰り際に寝顔をちらりと覗き見たが、相変わらず綺麗な寝顔だった。
満足したし、後は明日の朝を楽しみにしよう。
ヂリリ。
いつもならここで10分くらいベッドから出るのを渋るが、今日は違う。
本当は自分で起きて気づいて欲しいところだけれど、放っておくと下手したら昼…いや夕方まで起きないので起こしに行く。
もはや定型文と化した言葉で起こす。(布団を剥ぎ取って起こそうとしたことがあるけど、すごく不機嫌になってしまったのでもうしない。)
ん、とか、んー、とか、可愛い鳴き声を発しながらのそりと体を起こしたのを見届けてリビングへ行く。
焼いたトーストにマーガリンを塗る頃に、まだ寝癖をつけたまま、スーツ姿に着替えた天使がリビングに来た。
その手に抱えられているのは、昨夜私が置いたプレゼント。
中身はマフラー。君の好きな味のキャラメルバニラ色。
感想は「おー、いいね。最近寒いし。」と、まあまあお気に召した様子。
私がココアにマシュマロを載せている時も、じっとマフラーを見詰めるものだから、時間を練ってひとりで買い物に行った甲斐がある。
朝食を終えたらふたりで髪をセットして、いざ出勤するぞと上着を羽織ると、マフラーを手にした天使が寄ってきた。
喜んで巻いてあげれば、それはそれは良く似合っていること。我ながらセンスあり。
職場に着くと、ちょうど出てきたパワ子ちゃんが私を見るなり飛びついて来たが、その意識はすぐに天使へと移る。正確には、天使が巻いてるマフラーだけど。
…とまあ、公安にマフラーのプチブームが起こった。
1話目がクリスマス番外編とは何事。
ちょい遅れのクリスマスネタですけど、四捨五入したらまだクリスマスですよね。きっとそう。
短いしちゃっかり同棲してますし、はやか〜家も友情出演してますけど、とりあえずみんなでマフラー巻きましょう。巻き巻き。
メリークリスマス、エンジェル!












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。