ガチャ
彼は俺のそばですやすやと眠っている
本当に、安心しきってるように
白いどろどろとしたもの
上に白い煙が浮かんでいる
なにこれ…初めて見る
食べるのが怖い
なんで言えるわけない
まずくても、食べなきゃなんだよね?
信じてみたい
信じれない
口を開けると、つやつやしたものですくって、おかゆというものを口に入れてきた
なにこれ…あったかい
いつものまずくて、冷たいあれとは違う
なんか、優しくて……
そういって、俺におかゆを食べさせてくれた
少し多かったけど……
がちゃ
ぽふっ
後ろに倒れてもふもふとしたものに身を任せてみる
あったかくて、包んでくれて、優しくて、なんかじぇるさんみたいだなぁ、とか思ってしまった
信じてみたい
信じれない
そんな思いがいまだ俺の中でぐるぐるしてる
こんな優しくしてくれてるんだから、少しくらい信じてみてもいいじゃん
それとも何?周りの人は絶対信じれない?
そうだよ
信じれないんだ
どうせあとからみんな裏切っていく
辛い思いなんてしたくないだろ?
あそこだってそうだった
けど、じぇるさんたちは何かが違う
あのときとは違う
少し違ったってあの時と変わらない
俺を利用するだけだ
信じてみたい
信じれない
いっそこの光を
俺の手で消してしまおうか
無視し続ければ、逆らい続ければ、迷惑かけ続ければ
きっと本心が見えるはず
結局利用されるだけだ
利用されるだけ
また辛い思いをするだけ
そう自己暗示して目を瞑る
こんな俺でも信じれる光をください……
窓を見ると黒い外と小さな光るものが見えた
あの小さな光は星っていうんだ……
外を眺めていると、星の中でも強く光るのを見つけた
例えるなら、彼はもう一番星だろう
けど、"なーくんの中の一番"って言ってくれた
俺にとって、まだ一番星は眩しすぎる
けど……いつかは、一番星も掴みたい
俺は、じぇるさんたちを信じる
そんな思いを込めて、ジェルさんの手をにぎった
あったかくて、俺の手よりも少し大きい
優しさが伝わってくる
少し、この眩しい光を追いかけてみよう
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。