前の話
一覧へ
次の話

第2話

消えない悪夢(2)
4
2024/06/27 23:00

美桜はカッターとノートを自分の後ろに隠して動揺した顔で私に言う
横倉 美桜
………な、何かあったの?
山杉 奏
とぼけないでよっ!!
もう美桜なんか友達と思ってない!
そう言うと美桜は突然真顔になって私の事なんか見えてないようにゴミ箱の方へ目を向けた
そして手に持っていたノートをその中に押し込んだ
山杉 奏
なにしてるの…!
横倉 美桜
捨てただけだけど?
横倉 美桜
てか私の事友達と思ってたとかきしょすぎ
横倉 美桜
奏ちゃんって自己中じゃん?
みんな奏ちゃんのこと嫌いだよ
ずっと、1年の時からずっと
山杉 奏
そんなの嘘だよ!美桜は!そんな性格じゃないでしょ?
気づいたら涙が出ていた
絶望した。こんな子だったんだと
追い打ちをかけるように美桜が言った
横倉 美桜
私と奏ちゃんは友達なんかじゃない
ただのクラスメイトだから
自惚れないで自己中女
山杉 奏
美桜………ひどいよ
私はそのまま、香水を美桜にかけた
横倉 美桜
は?!なにこれ!くっさ!
美桜は私のことを蹴って言った
横倉 美桜
調子乗んないで
山杉 奏
…………
美桜との仲はかなり険悪になってしまった
あそこで怒った私が悪いのか
山杉 奏
(まあ、カッターで私のノートをぐちゃぐちゃにした美桜が悪いし)
山杉 奏
私は絶対悪くないよね…?
ノートについたゴミをはらいながらさっきのことを考える
空っぽになった香水の瓶を見たら紫亜さんの顔が頭に浮かんだ
山杉 奏
少し、申し訳ないな
次の朝、教室へ着くと異様に視線を感じた
視線は渡辺さんや桜田さん、美桜からだった
山杉 奏
(そういえば、どんな夢見たんだろ)
私が死ぬ夢を美桜に見せたから、頼んだ時は美桜が私のことをもっと心配してくれると思ってた
でも今の様子を見る限り、心配はしてないようだ
あの香水は偽物だったのかもしれない
渡辺 優乃
山杉さん
今忙しくてさ、これお願い!
山杉 奏
、、、わかった
あの日から、頻繁に渡辺さんたちに係や宿題を押し付けられるようになった
美桜の他にも少し居た友達も私からは離れていってしまった
山杉 奏
なんで、、私だけこんなに上手くいかないの
なんで、美桜は私と友達だったんだろうか
そんなことを考えていた時、渡辺さんが私の席に来た
渡辺 優乃
山杉さん、、、、、
今までごめんね
突然そう言われた
山杉 奏
え、?
渡辺 優乃
だって私達、山杉さんに色々やってもらってたし、悪いとおもって
ほんと、ごめんね
嬉しい、そう思った
もしかしたら悪い子じゃないのかもしれないと思った
山杉 奏
大丈夫だよ!
渡辺さんは顔を輝かさせて言った
渡辺 優乃
ほんと!?
でもお詫びしたいから
今度4人で出かけない、?
山杉 奏
え!うん!
次の日曜日、予定を開けておかなくちゃと思いながら、次の授業の準備をする
待ち合わせの日、その場所に私より先に3人が来ていた
山杉 奏
ごめん!遅れた?
桜田 紫織
大丈夫だよ、じゃあ行こっか
横倉 美桜
このカフェ行こうと思うんだけど
はどう思う?
美桜が私のことを呼び捨てで呼んでくれた
元通りの関係に戻ったんだとわたしは思った
山杉 奏
うん!いいと思う!
渡辺 優乃
やった!なら決定だね!
幸せな時間だった
着いたカフェはオシャレで、可愛くて、
渡辺さんたちが私とここに来ようと思ってくれたことが嬉しかった
カフェで渡辺さんたちはちょっと高めのケーキを、私はパフェを食べた、
それから少し時間が経ったころ、私より先にケーキを食べ終わった渡辺さんたちが席を立った
渡辺 優乃
私たち、手洗いに行ってくるね
すぐ戻ってくるね!
山杉 奏
うん!わかった!
1人になって3人を待ちながらスマホを見ていた
器だけになったパフェの写真でも撮ろうかなとか、そんな感じのこと思いながら待っていた
山杉 奏
遅いな、、、
3人が手を洗いに行ってから20分経っていた
嫌な予感がした私は急いで手洗い場に向かった
中を探したけど3人はいなかった
どこにもいなかった



嫌なことが当たって店員さんのところに向かった
もう早く家に帰りたかった
店員
どうかしましたか?
山杉 奏
あの…………会計を
店員
分かりました
店員
えーっと合計12300円です
山杉 奏
………え?
私の頼んだパフェは1500円だったはず
山杉 奏
あの、どれが高かったんですか、
店員
?えーと
1500円のストロベリーパフェのミニがおひとつ
3600円の期間限定ストロベリーホイップショートケーキが3つです
ストロベリーショートケーキを頼んだのは
私じゃなくてあの3人だった
あの3人は私に、ケーキを奢ってもらうつもりで私を誘ったのだ
山杉 奏
(そうだよ、あいつらはそういう奴らじゃないか)
私は、メイク用品を買うために貯めておいた20000円をレジに置いた
店員
………ありがとございましたー
お金を少し乱暴に置いたからか店員さんの声が私にもう来るなと言うように聞こえた 
私ももうここには来たくなかった
店を出て、駐車場の辺りを見渡す    
誰もいない、
私は一人ぼっちだ
裏切られたショックで出てきた涙を見られないよう、私はビルとビルの間に入った 
そこは空からのひかりもあまり届かない場所で今の私には落ち着く場所だった。
右足に割れるような痛みが響く
涙のせいで自分の手も見えない
山杉 奏
助けて、、、紫亜さん、、、
その時 私の横に誰かが近づいてきた
そして、その人は私に言った
聞き覚えのある青空のような声で
紫亜 李永
大丈夫ですか?
紫亜さんだった
紫亜さんの顔を見て、心にあった硬いものがスっと無くなってくれた 
紫亜さんはもう一度私に聞いた
紫亜 李永
山杉さん、大丈夫ですか?


山杉 奏
大丈夫じゃない…、大丈夫じゃないよ……!
助けて……紫亜さん、
私がそう言うと紫亜さんは、俯いた
山杉 奏
無理、、、なの?
紫亜さんは俯いたまま言った
紫亜 李永
私の所で、働いてくれませんか?
驚いた、真逆そんなことを言われるとは思わなかった
紫亜さんは続けた
紫亜 李永
衣食住付きで、給料高めです
山杉 奏
ちょっ、とまって!
山杉 奏
なんで!そんな急に
紫亜さんは少し、照れているような素振りを見せ1枚の紙を取り出した

何も書かれてない、白紙の紙
紫亜 李永
恥ずかしながらあの店で働いているのは私だけなので、少し大変でして、
明日から学校に行きたくないと思うのでいっそ働いてみたらいいと思いまして
山杉 奏
え?あ、うん?
意外と突飛な考えをするんだな、と感心しながら私は紙に指をさす
山杉 奏
これは、、?
紫亜 李永
契約書ですよ?
働いてくれるならサインしてください
グイグイ押し付けるように私にその紙とボールペンを持たせた
紫亜 李永
どこか適当に名前書いといてください
山杉 奏
どこかってどこよ、
文句を言いながらも紙の真ん中に
【山杉 奏】と書かせてもらった
紫亜 李永
サインありがとうございます
山杉 奏
このサインって何かあるの? 
書かなくても私は働くけど
紫亜 李永
そういう訳には行かないんですよね
このサインを色々して貰わないと山杉さん働けないです
紫亜 李永
店入るにはこれが必要なんですよね
山杉 奏
なるほど、
紫亜 李永
では行きますか
山杉 奏
そうだね!

プリ小説オーディオドラマ