俺は思い切りが悪いところがある。
のらりくらりでなんとか交わして、今まで事なきを得ているけど、きっといつか酷い目を見るんだろう…何となく、そう思う。
俺の目の前でぷんすかと眉を釣り上げて、でも嬉しさを隠しきれずに口元が緩んでるていく。
可愛い…そう思うのはホントの気持ち。
そんなくだらないことで笑いあってさ。
ていくと過ごす時間は居心地が良くて。
俺に無遠慮な態度がなんだか嬉しくて。
後輩ゆえの可愛らしさもあって。
なんか、ていくの方は俺を好きっぽいし?
…でも俺は、
背を向けて走っていく男に、笑顔で手を振るあいつが。
………気になってたり。
なんとなくわかってる。
あいつはJILが好き。
だって俺は春希のことばっか見てるから、あいつが何を見てるかなんてすぐわかる。
なんでもないわけなくない?と納得いかずに俺の袖をぐいぐいひっぱって、はやくはけーはなしちまえーと言うていく。
…やっぱりこいつは可愛いのだ。
どう足掻いてもそう考えてしまうのだ。
ていくは俺と一緒。
俺のことをよく見てるし、俺と話した言葉は忘れない。
俺も…春希のことをよく見ちゃうし、春希と話した言葉は今だって思い出せる。
俺と、一緒。
ちょっと俯きながら、でも幸せそうにお前は笑ってさ。
今は、“推し”という言葉で逃げてる俺。
いつかその言葉が変わった時、俺はこいつになんて言えばいいのか。
俺を信じて疑わないていくが可哀想だ。
俺は…きっとお前を傷つける運命なのに。
けど、
ていくと過ごす時間は、居心地が良すぎるから。
俺は曖昧なまま、お前の隣で笑ってる。
To Be Continued












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!