──本話の語り手『恵美まどか』──
あの日は僕の18歳の誕生日だった
お母さんがケーキを買ってきて、お父さんが新しい毛布をくれた
幸せな時だったのはあの一瞬
僕の幼なじみの親が、僕の誕生日プレゼントを持ってくるまでのほんの一瞬
実際は相当時間が経っていたのだとしても
僕は一瞬と感じたんだ
『せーのっ』
夜の8時、ちょうど夜ご飯を食べるころ
リビングにて、お母さんとお父さんが僕の誕生日を祝ってくれた
このめちゃくちゃ明るい人は僕のお母さん
この、マシンガントークがめちゃくちゃ上手そうな人は僕のお父さん
幸せが壊れるのはほんの一瞬だ
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴る
『こんな時間にすみません!鴉乃河です!つい先ほど、まどかくんが誕生日な事を思い出し、プレゼントを持ってきました。良かったら玄関まで来てほしいのです』
お母さんが玄関に走る
ガチャ
扉の開く音が聞こえたとき、
ドサッ
と、何かが落ちる音がした
お父さんが玄関に行く
すると、また……
ドサッ
何かが落ちる音
僕は玄関に行く
そこにあったのは音にあう、大きな荷物ではなく、
自分の両親の死体だった
腹部が刺されていて、玄関が血の海へとなっていた
そこにいたのは、包丁を持った
鴉乃河 アカネ と
鴉乃河 冬斗
だった
冬斗さんが僕に包丁を向けて走ってきた
その時の僕は、恐怖で動けなかった
『僕、死んじゃうんだ。最後に誠一とヒカルにあいたかったな』
グサッ
あれ?刺された音はするのに、痛くない
恐る恐る目をあけると……
お父さんが刺されていた
鴉乃河夫婦は帰って行く
プルルルル
『事故ですか?事件ですか?』
『わかりました。場所を教えてください』
『わかりました』
『誰に刺されたのかわかりますか?』
『わかりました』
『少々お待ちください』
鴉乃河………
ヒカルのお父さんとお母さんか……
どうして………












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!