第55話

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2024/04/10 20:53
葛宮視点
俺の前に再び現れたあいつは、昔のように俺を求めて俺に抱きついた
葛宮
あー、こいつかわいいな
昔のままのあなただ
昨日はなんにも覚えてなかったくせに
俺のこと、忘れちまったくせに
せっかく諦めようとしてたのに、無理じゃねぇかよ
(なまえ)
あなた
りゅう
彼女が俺の名を呼ぶ
俺は彼女を見つめる
(なまえ)
あなた
もう、私を捨てないで
その言葉に一瞬ドキッとした
やっぱりそうだよな
俺はこいつを、あなたを捨てたんだ
葛宮
…まあな
もう、あんな過ちは犯さない
今度こそお前を幸せにする
だから________
シロ
シロ
おい
葛宮
あ?
急にシロが俺の肩を掴んだ
シロ
シロ
お迎えが来たぞ
葛宮
…!
シロの言葉に一瞬体が凍った
俺らしくない
zm
おい
その声の主に目をやると、フードを深く被った男が立っていた
(なまえ)
あなた
!!
俺しか見ていなかったあなたの視界にあいつが映る
葛宮
誰だよ、お前
zm
あなたの彼氏や
『彼氏』
その言葉に俺は焦った
葛宮
はぁ?w
葛宮
こんな状況見て言えんのかよ
葛宮
こいつは自分からこっち側に来たんだ
葛宮
お前は振られたんだよ
毒を吐き捨てるようにあいつに言ってやった
無意識のうちに腕の力が強まる
まだあなたを離したくない



それでも、あいつはあなたを俺から引き剥がした
あいつがあなたの唇を奪うと、あなたは突然意識を失った
葛宮
は…?
あまりに急な出来事に俺の頭はついていけなかった
zm
それじゃ
それだけ言い残してあいつはあなたを軽々と持ち上げ、この場を去っていった
葛宮
おい、待てよ!!!
すぐさま俺はあいつを追いかけようとした
その時、顔色を悪くしたシロが力強く俺の腕を引っ張った
シロ
シロ
…あいつは、だめだ
シロ
シロ
俺たちじゃ勝てない
葛宮
何言ってんだよ?!
葛宮
2対1だぞ?!
葛宮
しかも相手は女を抱えてるんだ!!
葛宮
勝てるに決まってる…!!!
俺はその場で崩れ落ちた
シロ
シロ
お前、思い出せよ…!
シロ
シロ
高校の時、手も足も出なかった相手だぞ…?!
_______その瞬間眠っていた記憶が思い出した
高校時代
zm
お前ら、次俺らに関わったらぶっ殺す
葛宮
…くそが
喧嘩を挑み、ボコボコにされた俺とシロ
シロはある人に関わることをやめ、俺たちは不良という立場を改めた
あの冷たくて鋭い目
街であなたとあいつが歩いているのを見た時、あいつの顔があの時よりも優しくて
人が変わったようだったから気づかなかった
なんだ、俺は最初からあいつに負けてたじゃねぇか
なぜ、今日あなたが俺を求めたのか
俺が考えたってよくわからない
ただ、一瞬
俺はあの幸せだった時間を思い出してしまった
葛宮
っははw
シロ
シロ
なんだよ、急に
葛宮
…いや、昔のこと思い出しただけだ
シロ
シロ
未練たらたらじゃねぇか
葛宮
黙れ死ね
次回、葛宮とあなたの過去がついに…!
次回→♡120、★1000
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