この子は、私が買った初音ミクちゃん
曲を作るというより声を聞きたくて買ったんだけど
調声してみたら、すっごく可愛くて素直ないい子になったの!
そもそも個体差があってその上で調声によって変化するとは知ってたけど、
容姿も性格もこんな好みでしかない状態になるもんなの?
はぁ~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜好き
舌っ足らずな喋り方なのは滑舌が悪いわけは絶対ないから喋るのがめんどくさいだけだろうけど、
そういうのも幼げでどうしても可愛いっ!てなっちゃう
ていうかこれはさすがに誰でもそうならない?ときめいちゃうんじゃない?
――――....ぁ..ぅ........ょ..........っ.....
風呂上がり
少し大きい一人用ソファに寄りかかりながらテレビを見る
ちょっと前は雨が降っても気温が特別下がるなんてことがなかったが、
上着を持つほどではないけれども心配するくらいになった。
時の流れは速いものだ
またすぐ、寒くなる
カップアイスとスプーンを持ってきながら
そんな可愛いことを言う
お決まりの味と専用のスプーン
いつもの定位置の、膝の上に横抱きのような形で、私に軽い全体重を掛けて座る
お風呂上がりの乾ききらなかった少し湿った長い髪が、軽く結ばれた2つの束のまとまりを感じさせつつ、さらりと床に広がる
2人の邪魔になるテレビは消して、
アイスを食べきるまでの少しの時間のお喋りをする
だんまりを使うかこの子
舌っ足らずなことと同じに、基本目の周りほどしか表情の変化の起きない幼さを感じる愛らしい顔は、僅かに唇が不満げに突き出されている。
私の生暖かい視線を嫌そうにしてるくせに、自分でお膝の上に乗ってる
なんなんだ、かわいい
どけばいいってことわかってるくせに、どかないのかわいい
自ら光るような宝石、こぼれ落ちる寸前の透きとおった水のような、
大きな瞳がおもむろに動く
体は動かない
じっと見てくる目線に応えるように首を傾げつつ、穏やかに語りかける
彼女が動き出す
座る私に対して横だったのが、対面で膝をつき座り込む形になる
彼女の腿が、私の横腹を少し締める
彼女の邪魔にならないよう胸元で中途半端にあげていた腕を取られる
腕を優しくつかむ両手が滑っていき、彼女の人差し指が私の手のひらを慈しみつつも弄ぶように撫でて
その手はされるがままの腕を柔らかい背もたれに押し付ける
睫毛が音を立てていると錯覚するほど重さを感じるまばたきに目を奪われる
するりと指に絡みついた指が、答えを必要としていないものだと分からせてくる
恋人繋ぎの手を見せつけるように口元に持ってきて、爪に、触れるだけのキス
でもそれは、濃厚で、淫靡で、艷容で、
いままでの情事を思わせ、これからの情交を想像させた
そのまま、元を辿るように、
第一関節にキス
第二関節にキス
指の付け根にキス
手の甲にキス
手首に
近づくところで顔が止まり、こちらを向き直り、宝物を失くしてしまったような顔でこちらを見る
先程まで変態的な執着を持って口づけていたとは思えないほど
純粋に悲しげな表情だった
彼女はじっと目を合わせたまま距離を近づけてくる
お互いの鼻先に、ぶつかる直前に、
顎を引いて額を突き合わせる
それでも唇は、ごく近い
嫌だ
そんなところで喋らないで
どうしても
勝手にドキドキさせられてしまうじゃんか
慣れた鼻呼吸に時折声がのる
まだ唇を合わせているだけ
その事実に疑問が浮かぶほどお互いに互いの唇の愛で方を熟知していた
軽く吸ってわざとリップ音を立てさせれば、諌めるように下唇を食まれる
ご機嫌取りに啄むような軽いキスを繰り返せば、あちらが食らいつく
そんな愛撫を交互にしていくうちに、彼女の少し湿っている唇を舌が掠る
舌の先の少し開いた口から喘ぎが漏れた
あ、頭が、ぐらぐらする
やっとありついたご褒美にがっつく。
舐め、
重ね、
なぞり、
吸い、
溢れかける唾液を堪える。
どちらともなく唇がわずかに離れ、湿りてらつく唇を余韻とともに軽く舐める
手で顔を抑える私をわざわざ下から覗き込み、生ぬるい視線をぶつけてきた
そちらも十分に悪趣味なのでは?
膝立ちになった彼女を目で追う
ストリップよりも淡々と無造作で、なんなら不器用だけれども、
息の上がるような焦らしを食らっているようで、
ずっと味わってたい辛さも、疼きも、興奮も、私の呼気も全部、
熱になって視界を湯立たせる
鼻の先まで煮えた、ほんとは僅かな時間が過ぎ
そしてやっと
私の趣味が完全に反映されたワンピースパジャマからするりと布が抜けた
少し乱れたワンピースを軽く引っ張って直し
両手をこちらへ広げる
そのまま腕の中に収められ、冷えた布の奥の体温を感じた
与えられた熱を共有したくて
あなたにこんなに酷いことされたんだって
ぐりぐりと頭を押し付ける
僅かな膨らみに頬擦りしながら
反対側を左手で外側から寄せるように形に沿って滑らせ、確かな柔らかさを手に包む
滑らかな布地だけでない指先を悦ばせる暖かな肉が
奥底のようで近い、響きを伝えて
それは、私の血管に轟くものと同じように速い
彼女が悦の灯った目を細め、赤みの溶け込んだ口の端を引き上げる
気付いてることに気付いてるとでも言うのか
少しのいたずらごころと反逆心で
あえて避けていた少し腫れた頂を指の腹で挟む
激しくも痛くもしない。愛情しか乗っけない。
ただわかりやすい意図にはわかりやすい行動で返すだけ
ああ、反応のなんと可愛らしいことか!
大した快感はなくても、反撃を食らって悔しそうに眉を寄せた表情が
でも少しの受け容れたさが伺える吐息が
全部愛らしくって愛おしい
価値観の相違とか考えないタイプだったんだ
いや、そっちが絶妙な納得とか満足とか、なんか諸々の妥協点を見つけてから来いってことだ
ああわかった
わかってしまった
とんでもない暴君
好き
彼女の視線が私の服を着たままの体を隅から隅まで巡らす
さあ、どこから仕掛ける?
そもそも近い距離だが輪郭に沿えた手に撫でるようにして顔を差し出す
今はひたすら従順な犬になるんだ。同時に甘え倒すが
急にグリンっとそっぽを向かされたが、指示で瞬発的に首に意識が向いたため
筋が突っ張ったような痛みに襲われることはなかった
なかったが、彼女の方を向いた顔の側面はかかった髪を取り払われすっきり顕になった耳から空気が鼓膜にかかる音と得も言われぬ感覚が走る
頬を押した手の力に逆らい、横目で妙にニヤニヤした彼女を見る
まだ始まったばっかりだがもう十分に反撃された気がするが
彼女からは全くその気が感じられない
やはりこちらの意見など意味をなさないのだ
好き
顔が再度近づいて
耳介に舌が触れた
軽く噛まれ、歯の形が分かる
耳への刺激には少し慣れて
彼女も耳の形を楽しんでいるだけになって
ピチャっぞりり
また、騙し討ちみたいな
唾液が多めだったのかもしれない
妙に水っぽい生暖かい舌は、今度はちょっかいというより、愛撫らしい
----- ぐちゃ ぐちゃ
なにもできないの
動けなくはないのに、甘い温かさと快感を、ずっと受けてたくて
目が痙攣したみたいにぱちぱちしちゃうような刺激が
あんまり頭はたらかせてくれなくて
ため息みたいな喘ぎみたいなよくわかんないこえをはきつづけてるのに
お腹のなかにたまってっちゃって
もうやだ
ふと舌が止まり、引き抜かれた耳に入ってきたのはそんな言葉
まだ冷めていない頭に軟骨からのリップ音が響いて
また響いて
また
また
また
あああああああ!!!!!!!!!
ばれたばれたばれた、バレてしまった!
私の頭の中でも隠してた、汚くて卑しくてわがままな私が!!!!
こんなにも惨めに!露出してしまった!!!
違うの、知ってた!!!絶対に気づいてくれるって知ってたの!!!
こんなのを知って、汚らしいって私を踏みつぶしてほしかった!!!!
私が非難されるのは当たり前だから!!!!嫌がられることに不満を持っていじけて可哀想がっている私を存分に否定して!!!!私をすり潰すことで私より正しい人を、私からの理不尽な感情から守って肯定して
バチンッ
頬が熱い?違う、痛い。あ、痛い。
逸らさせられていた顔を戻されて
あ、まって違う
また間違えちゃった
あなたにわ
ーーーーピロンっ♪
ピロン♪ピロピロン♪
腹立つくらい軽快な通知音
またこちらの世界に戻らさせられた
ブラック企業の仕事上がり後も干渉してくる尊敬絶えない方専用の通知音だ。なまじ大切なもののときもあるため注意を引くのに確かに役に立つがだいたいク✽みたいな言葉付きかその✽ソばっかか早く見ないと✽ソめんどくさくなるク✽みたいな機嫌のときもありどう転んでも✽ソなのだ
でもこんなご丁寧に証拠残してくださるが告発も退職届も出せない。
日々に疲れ以上の何かを感じ、削がれている。
きっとあいつもそうなんだろうな、
幸せ、ってなんだろう
涙もなく、えずく。
....まあ、どうせ、明日も平日、だし、仕方ねえよな
抑えるものもないが、クセで、塞がっている利き手の反対の腕で目を覆う。
わりと鮮明で?まあ質の良い妄想だったんじゃないっすかね〜
あ~あ~救われたいなー
脱ぎ捨てられたパンプスのある玄関すぐのトイレで、
自慰の余韻で埋めたままだった指を抜いた。
少し乾き始めている体液が、泡立ったあとを残しながら、手首に近しいところまで飛んでいる。
トイレットペーパーで手指を拭い、水を流し、電気を消す。
全てがだるいけれども、
一つ一つ、
当たり前の事を
して、
トイレから出る。
足首に留めていた衣服から
片足出し、
カバンと一緒に引きずり歩く、
慰めたあとを流しに、
風呂へと向かう。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。