目を瞑っても よく寝れなくて 目を開ける
時刻は深夜3時を回っていた
真っ暗な部屋も目が慣れてきて 見てみると酷い有様だった
血がついた布団やティッシュ、破られた教科書が散乱していて足の踏み場があまりない
片付けをする気にもなれないから 今度こそ睡眠剤を取りに 恐る恐るリビングにおりる
薬って何錠飲めばいいんだろう、錠剤だけ置いてあったからわかんない
薬なんて いっぱい飲んどいたら効果でるか
5.6錠 手に取り 口に入れようとした瞬間 柔く手首を押さえられる
そう言った甲斐田さんは私の手のひらに錠剤を2つ残して残りは持ってしまった
部屋の惨状を思い出して そう返す
手を繋がれて リビングのソファに座って向き合う
繋がれた手は 昨日の不破さんみたいに強くなくて、解こうと思えば 多分簡単に解けた
小さく頷くと ありがとう、と言って 繋がれた手が離れる
ホスト…だからあそこに居たんだ、声掛けてきた男の人にも 気軽に話しかけてたし、
確かに、喧嘩しても 手をあげられることは絶対に無かった と思い返す
頬が今更 少しだけ痛んだ
いっそ見放してくれたら楽なのに、と思う
大事にされたら どうしても考えてしまう。
はやく、「厄介だ」「関わりたくない」って突き放してくれたら、
ぽつぽつ 昨日のことを話し始める
また話してるうちに涙が出てきた
厄介な癖だ、何もしてないくせに 一丁前に涙だけは流して。
袖で無理やり拭おうとすると また手を繋がれて阻止された
代わりに 傍にあったティッシュで目元を優しくおさえられる
うん、うん、と優しく聞いてくれる甲斐田さん
深呼吸を何回かして 落ち着いたあと 甲斐田さんは あっ、と声を出す
昨日、今日とで泣いて 目や鼻は赤いしあまり顔見せたくなかったんだけどな、と思うが大人しく従う
昨日刀也に叩かれた時の影響で腫れた 頬に手を添えられ、もう片方の手は 目を覆い隠される
ぶつぶつと呟いたと思ったら だんだん頬の痛みが引いていく
鏡を見ると 腫れた頬は治っていた
頑張ったね、大丈夫だよ、と頭を撫でられる
ドヤ!という顔をする甲斐田さんに ふふ、と笑うと 甲斐田さんは安心したみたいな顔に変わった
それから甲斐田さんはもう一度 無理しなくていいからね、と言ってくれた
その後 話したり ちょっとアニメとか見たりして 朝まで時間を潰した
家族や刀也が起きた気配がすると 甲斐田さんは「またね」と手を振って 部屋に送り出してくれた
部屋を改めて見ると もう修復できないレベルで破られた教科書をとりあえず積んで端に置く
うーん、と考え込んでいると コンコンコン、とノックが鳴った














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!