欠けた月が暗い空に輝く夜のこと
印南幽が死んだ
死ぬ直前、彼は俺にこういった
『少年、月が綺麗だな』
そう言い残し、死んだ
俺でも知っているその言葉は、その言葉の意味は、
俺の心を締め付けた
あれから5年
俺は、責務を全うした
戦争に終止符を打った
皆で笑い合い、喜びあったがここにあの人はいない
またいつか、あの人に、会えるのだろうか
この日のちょうど2年後
俺は寿命で息を引き取った
………っと思ったら転生した
もちろん記憶ありで
俺の話はもういい
今世でも、前世の同期、先生、先輩など
いろんな人と楽しく過ごしている
それはさておき
俺はまだ、あの人に会えていない
会いたい
満月が輝く夜だった
ふと、目が覚めるとまだ11時で
ふと、散歩にいきたくなった
いつもよく行く公園
皇后崎たちと今世で初めて会ったカフェ
月光の光を纏う海
めぐって、めぐって
見覚えのある景色についた
あぁ、もう散歩おわりかぁ
と思い、もう少し先の家へと歩く
ふと、自分の家の前に誰かがいることがわかった
誰だ?
不審者かと警戒していたが、する必要はなかったようだ
視線が合う
見つめ合う
言葉が奥に支える
心臓の鼓動が速くなる
一歩、一歩と前に進む
真正面に相手の顔が見える
近い
久しぶりに聞くその声は、ひどく優しさを帯びていた
喉が弱く、吐血するのは今世でも変わらないらしい
月が、今の月だけは、
俺たちを二人の世界に閉じ込めてくれる
抱きしめる
体温がある
…あの日とは、違う
触れられる
触れる
それだけで意思疎通ができる
欠けた月が満ちるとき、2人は───………













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。