第59話

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2026/05/21 09:00 更新
おばあさん
あっ…!
すれ違ったおばあさんの声。

何事かと思って振り返れば、私たちをじっと見つめてた。
ふじい
あの…どうかされましたか?
流星くんがおばあさんに声をかけた。

泣きそうな顔で私たちを見てる。

でも、私は会ったことない。

流星くんの知り合い…?
おばあさん
あぁ…ごめんなさいね。あまりにもあなたたちがそっくりやったから…
涙を拭いながら。

嬉しそうに、切なそうに…
おばあさん
私の祖父母にそっくりやったの。父が小さい頃に亡くなったんやけどね…
ふじい
えっ…
おばあさん
今日は、父の命日なの。十七回忌でね、前倒しで法要したんやけど、やっぱり墓参りには来たくてねぇ…
おばあさんは持っていた清掃用のお水の入った桶を、お墓の前に置いた。
おばあさん
…ここが父のお墓。もしかして、掃除して、お花供えてくれたのはあなたたち?
私たちがお供えしたお花を指さした。

私たちは顔を見合わせた。

ということは、この方は…
おばあさん
私の父の名前は、藤井太生。どういう、知り合いやったの?
何秒かの沈黙。

どう説明したらいいのか、頭が真っ白。
ふじい
あの…
流星くんが私の手をぎゅっと強く握った。

そして、私を見て微笑んだ。
ふじい
こんな話、信じてくれへんとは思います。でも、聞いていただけますか?
おばあさん
…もちろん。暇なおばあさんの話し相手をしてくれるなんて、嬉しい限りやで?
流星くんに引かれて、お墓に戻る。

そして、手を合わせてるおばあさんの後ろでもう一度拝んだ。

おばあさんは立ち上がって、振り返った。
おばあさん
父さんを、知ってるんやね?
ふじい
……はい。
おばあさん
お嬢さんも?
あなた
…はい。
優しく微笑むおばあさん。

なんか、安心する。
ふじい
…前世を、信じますか?
おばあさん
前世?……そうねぇ。あるんやないかな?
ふじい
僕たちの前世は、藤井太生さんの父と、母です。
おばあさん
……えっ?
ふじい
…僕たちは、前世の記憶を持ったまま、生まれ変わりました。
おばあさん
……そんなこと、あるんやねぇ…
おばあさんの目から涙がこぼれた。
ふじい
信じていただけますか?
おばあさん
…もちろん。
おばあさんは鞄から写真立てを2つ出した。

そして、お墓の前においた。

右側に素敵な老夫婦。

左側は…
おばあさん
これは両親の。そして、こっちは父方の祖父母。
前世の私たちの結婚式の写真。

今の私たちの生き写しのような写真。

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