ベランダで
たった2人
横並び
白い縁に
体重を乗せて
話し掛ける
生暖かい風に吹かれて
ぼーっとしてる最中だった
もうすぐ夕暮れ
無理矢理押し切って
誠くんに化けて貰う
そう言って
誠くんの
顔や頭や肩を触る
私が誠くんの
喉をなぞる
残念だな
じゃあ…
やっぱり優しい
私の姿をした誠くんを見つめる
顔があるともっと表情が分かりやすい
照れてて少し困ったような顔
本当にそこに
私がいるみたいで
少しくすぐったい
あーあ…
そんなところが好きなんだけどね
思わず口元が緩む
そう言って誠くんに近付く
目の前まで行く
戸惑ってる
可愛い
私の方が身長が大きいから
私の影に誠くんが収まる
誠くんの顔に顔を近付ける
白い頬に手を添えようとする
私の顔をした誠くんが
ぎゅっ、と目を瞑る
誠くんに触る寸前で
しゃがみ込む
誠くんに背を向ける
私の意気地なし…
そのまま口付けくらい……
5秒間ぐらい静かだった
その間に
私の顔がどんどん熱くなる
声が聞こえて
もっと情けなく、恥ずかしくなった
黄昏時
真っ赤な空と黒い木々を背景に
誠くんの声がする
心臓の音に消されてあんまり聞こえなかった
多分、夕暮れの空より私の顔の方が赤かった
──日の入りが少し早い5月の話
毎回質問コーナー!
Q,なんで今まで化けて来なかったんですか?
Q,で、本当は?











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。