said えむ
あたしと司くんは今、お忍びで街に来ている。
これには理由があって……。
なんとか昨日、大まかな後処理が終わり、あたしたちの日常が戻りつつあった。
特にやることもなく、昼食を終えて自室でゴロゴロしている時だった。
___コンコン。
ドアの向こうからくぐもった声が聞こえる。
大きな声に反して、意外にも静かに入ってきた司くんは、開口一番にこう言った。
急かされるまま支度を終え、連れ去られるようにあたしは街に来たのだ。
街を回るうちに、だんだんと自分が不調であることに気づいてきた。
厳密に言えば、“いつも通り”ができていない。
昨日感じた事。
それは━━━━━━

━━━━━━嫉妬。
でも、この気持ちは胸にしまっておくの。
あたしが抱えて生きていくの。
こちらを心配そうに見ている顔に胸がチクリと痛んだが、気づかないフリをする。
今までもそうして来たんだから。
___カランコロン。
聞き慣れたベルの音に顔をあげると、杏ちゃんたちのお店に着いていた。
みんなはパッと顔を輝かせて話しかけている。
━━━━━━モヤモヤ、チクリ。
暗い顔をしたえむを司は見ていた。
商品を受け取る流れをボーっと見る。
店を出た後は司くんも後ろをついて歩く。
すると、後ろを向いた司くんは言った。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。