──ギザルムside──
魔界の隅で座り込んでいた魔人を気まぐれで拾った
何も見ていないようで
何かを強く欲している
.........気に入った
こういう奴は利用できる
着いてこいと言えばそいつは目を輝かせた
張り付いて来たのが鬱陶しい
殺してやろうと思ったが
まさか受け入れるとはな...
ますます面白い
利用価値はかなりありそうだな
目的地に着いた後
こいつは
そう言って俺の前に膝を付いた
言葉を詰まらせては繋げ
拙い語彙で
精一杯の敬語
やはり
面白いと思った
しばらく睨んだが微動だにしない
……
ここに来て初めてこいつの声に感情が乗っていた
ほんの少し口角が上がっているように見えたのは気のせいか
中々……いい暇つぶしになりそうだ
唐突にふと思い立った
コイツに名はあるのか
聞かれるとは思っていなかったのか
顔を上げてほんの少し目を見開いている
聞こえなかったのか小首を傾げている
まるで子供だな
考えるような仕草をして
指先を見つめていた
数秒後
アイビー……
何処までも蔦を伸ばして絡みつく
細く華奢に見えてしぶとい
その絡み付いた対象が枯れてもいっさい離れない
対象を覆い隠してもなお その蔦は留まることを知らない
まさに 『依存』と『執着』の花
なかなかに…厄介そうだ
多少執着がある方が扱いやすいか
邪魔になれば切り捨てるだけだ
返答が無く不安になったか?
随分と脆い
その声は少し震えていた
視界の隅に入れると
そいつの頬に涙が伝ってた
………
なぜここで泣くのだコイツは
読めないやつだ
だからこそ面白いのかもしれない
恐らく魔力量は悪くない
さしずめ 一級程度か
…飽きるまではそばに置いてやろう
無感情のその声に
僅かに寒気を感じた
…やれやれ
全く…
変わった狂人に気に入られたものだな…











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!