野薔薇の携帯から流れたアラームによって目を覚ます。
窓から差し込む光に目を細める。
ベットから下りてカーテンを開ける。
机の下に放り投げられている携帯を手に取り、開く。
ロック画面にあった通知にビックリする。
全部悟からのものばかり。
100件は超えるLINEに、10件くらいの不在着信。
来たのは夜中2時とか3時。
でも、私はこういう事は何度も経験済み。
悟が家に帰って私がまだ帰ってない時とか。
喧嘩の時とか。
最後のメッセージには、
悟の口からじゃ、出てくると思わないような弱い言葉ばかり。
罪悪感が溢れ出す。
苦笑いのような、優しいような、そんな笑顔で見送られる。
家まで走っている途中、涙が溢れ出す。
ガチャッ
家のドアを開けると、玄関に座り、俯いた悟が居た。
玄関に座り込み、悟の顔を覗き込む。
目は涙を溜めて、赤い。
綺麗な顔は青白く、歪んでいる。
小さくなった悟を抱きしめ、頭を撫でる。
弱々しく呟かれた言葉。
何十分もごめんねと大好きを繰り返す。
2人で涙でいっぱいの目を細めて笑う。
今日は2人して休み、ずっと一緒にいた。
END
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。