愛奈side
後ろから声がする。
少し振り向くと、そこには人間とは到底思えない形相で追いかけてくるレイの姿があった。
レイは高笑いすると、一気に距離を詰めてくる。
まずい、と思い階段で川沿いに降りる。
あの速度で来たら川に落ちるか転がり落ちてくるだろう。
そうしたらもう動けないはず……
予想通り、レイは階段を転げ落ちた。……が
すぐに起き上がり、また距離を詰めてきた。
とにかく限界まで、行けるところまで走って行く。
また階段で住宅街の方に戻り、逃げられるところを探す。
建物の多いところに着き、間をすり抜けていく。
後ろを少し見ると、どうやら振りまけたようだった。
前にレイが現れる。
逃げよう、と思い後ろに向かってももう遅い。
後ろから押し倒されるような感覚。
誰も押してないのに、押されたかのように倒れる。
背中がじわじわと、痛み出す。
所々、声が聞こえなくなっていく。
最期に聞こえたのは、その言葉だった。
レイside
まだかろうじて、数秒しか出来ない呼吸をしている死体。
私はその言葉だけを、死体に残す。
もう動かない、何も出来ない。
いくら天才であろうが、神からあらゆる才能を与えられていようが、その神がこっち側なら結局は死ぬのだ。
後ろから覗いていたハチさんがやってくる。
私達は一番優しい相談屋なんかじゃない。
一番狂ってて、一番頼りにならない相談屋だ。
これはただ暇を持て余した人外2人の始めたお遊び。
{嘘つき達のカーニバル}なのだ。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!