ー審神者 視点ー
私はこの本丸の主になってから3年、1度も近侍を変えていない
なぜかって?
じゃあ、ちょっと私の話を聞いてくれる?
ー2年前ー
書類を卓上に置き部屋を出る
皆が作る輪の中心に目をやった私は、言葉を無くした
ボロボロになった清光がいた
他の皆も中傷だったけど、誰がどう見ても清光が1番酷い怪我をしてた
呼吸で精一杯の様子の清光
震える声で呼び掛けると、指が微かに動く
私はその場から動けないまま手入れ部屋に連れて行かれる清光を見ていた
気付けば清光は布団で眠っていた
私は、そんな清光の手をただ力なく握っていた
ー審神者なりたての頃ー
返事がない清光の名前をもう一度呼べば、
泣きそうな、苦しそうな顔を見せる
努めて優しく聞きながら、清光の隣にそっと座る
あまりにも急な事で驚いた私の服の袖を握る
捨てる…?
清光を…?
私の…大事な大事な清光を…?
捨てる…?
……そんな事
いきなり大声を出しちゃって、清光が肩を揺らす
失言した、という顔をする
そう叫ぶように捲し立てて、泣きながら清光を抱き締める
清光が抱き締め返してくる
そう言って抱き締めた手に力を込める
そこから私たちは、何事かと駆けつけた長谷部たちが来るまで泣いていた
ー2年前ー
そんな事を静かに呟いていると
清光が目を覚ました
そして包帯の巻かれた自身の体を見て目を見張る
そう言った時、私の中の"何か"が切れた
私は清光の頬を張った
スッと立ち上がって清光を見据える
そう叫ぶように言って座り込む
清光が立ち上がって、私を抱き締める
こんな事があってから、私はずっと近侍を清光にしている
それは今日も、明日も
これからも、ずっと




























編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。