和也side
和也「え、?僕に?」
「うん、良かったら..だけどね?」
ダンススクールを卒業してからも続けてきたダンスを認めて貰えた気がして嬉しかった。
だからやりたいって気持ちがすごく強くて、
和也「僕でいいならやりたい..」
「ほんと!?良かった..」
「皆さん!今のダンスは実はソロダンスのオーディションだったんですが、こちらの大橋和也さんに踊ってもらうことになりました!」
シーンってなってる。
やっぱり、こんな陰キャじゃ務まらないって思うよね..
出しゃばるんじゃなかった、僕は誰かの陰で平和に暮らしてればいいんだ..
和也「..ぁ、あの」
辞める..と言いかけた時にパチパチと拍手の音が聞こえた。
音の方を見ると、さっき話しかけてくれた長尾くんで、それにつられてみんな笑顔で拍手をしてくれた。
和也「..、あ、あの!僕みんなに劣らないように頑張るんで、よろしくお願いします!」
そう言うとみんな笑って、こちらこそーとかよろしくなーとか、優しい言葉をかけてくれて。
すっごい嬉しくて涙が出そうやった。
その後は委員さんから曲の発表があって、グループLINEに送って貰って解散になった。
自分もなにかの輪に入れたことが嬉しくて、LINEグループを開いたまま、携帯を握りしめて帰った。
自分でも分かるくらい今、ニヤニヤしてる。
和也「大ちゃんに手伝ってもらおうかな〜、笑」
ドンッ..
和也「った..」
「いってぇ..」
携帯を見つめてよく前を見てなかったせいで誰かとぶつかってしまった。
日も落ちて辺りは薄暗くて相手の顔がよく見えない。
和也「ぁの、ご..ごめんなさっ!」
丈「大橋?」
和也「っえ、?藤原..くん?」
丈「..文化祭ダンスグループ、?」
和也「えっ、!あ!いやそれはっ、その」
尻もちをついて落としてしまった携帯を藤原くんが拾ってくれた。
..はいいものの、グループの画面を開きっぱなしでグループ名がバレた。
丈「お前、文化祭踊んの?」
和也「いやっ、えっと..」
藤原くんは屈んで僕の顔を覗くようにして問い質してきて、パニックになる。
丈「..ちょっと付き合え、」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。