能力使用禁止令が出た、その三十分後。
廊下が、伸びていた。
イエモンは、淡々とそう言った。
敬語だったせいで、誰も冗談だとは思えなかった。
ルカが床を踏む。
ヒナがキョロキョロする。
レイマリが即答した。
つまり、誰も使っていない。
ウパパロンがしゃがみ込み、床を指す。
ミゾレが首を傾げる
ゼンコパスが苦笑する。
その言葉に、メメントモリだけが一瞬、視線を落とした。
ドンッ!
ガンマスの声が響き、天井が揺れた。
控えめに、カコが手を挙げた。
空気が静まる
イエモンが眉をひそまる。
チャコが武器生成を行う
短剣が一つ、手のひらに現れる。
――次の瞬間、消えた。
3秒遅れて壁に突き刺さる
メメントモリが目を細める
チャコが呟いた。
ルカが腕を組む。
ラテがまとめる。
メメントモリは、黙ってそれを聞いていた。
大鎌に映る影が、
一瞬だけ、別の形に歪んだことに気づきながら。
だが、何も言わない。
ウパパロンが口を開く
メモ
・『能力が、個人に完全には固定されていない』
・『使っていないのに、動く』
・『複数の性質が重なる』
ゼンコパスが笑う
誰も、
なぜこうなっているのかまでは掴めなかった。
メメントモリが静かにそういった。
全員がそちらを見る。
一拍、間を置く。
ラテが目を細める。
嘘は言っていない。
全部は言っていないだけだ。
ただ、
誰にも見えない“気配”に向けて、心の中で呟く。
(――まだ、静かにしていなさい)
返事はない。
けれど、背後の影が、
ほんの少しだけ、
楽しそうに揺れた気がした。
私にしては早い!




























編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!