第12話

あるはずのない能力の数々
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2026/01/06 15:00 更新
 能力使用禁止令が出た、その三十分後。
 廊下が、伸びていた。
イエ・マグリ
イエ・マグリ
……廊下、伸びてません?
イエモンは、淡々とそう言った。
敬語だったせいで、誰も冗談だとは思えなかった。
ルカ・ヒスラ
ルカ・ヒスラ
伸びてるな、、
ルカが床を踏む。
ハチ・マバン
ハチ・マバン
昨日より3歩分…
チャコ・ハナフ
チャコ・ハナフ
なんでわかるの…?
ハチ・マバン
ハチ・マバン
昨日グリコしたから
ラテ・バルト
ラテ・バルト
は?
ヒナ・ヒスラ
ヒナ・ヒスラ
誰か能力使った?
ヒナがキョロキョロする。
レイ・マリン
レイ・マリン
…使ってたら俺が怒られる
レイマリが即答した。
 つまり、誰も使っていない。
ウパ・ウォール
ウパ・ウォール
能力の痕跡はある…
ウパパロンがしゃがみ込み、床を指す。
ウパ・ウォール
ウパ・ウォール
でも所有者が一致しない…
メテヲ・スタール
メテヲ・スタール
誰のでもない能力……?
ミゾレ・スノーマ
ミゾレ・スノーマ
なのだ…?
ミゾレが首を傾げる
ゼン・コパス
ゼン・コパス
まるで幽霊能力…w
ゼンコパスが苦笑する。
その言葉に、メメントモリだけが一瞬、視線を落とした。
ウパ・ウォール
ウパ・ウォール
検証しよう
ウパ・ウォール
ウパ・ウォール
能力を使い、起きた現象を見る
グサ・アニラス
グサ・アニラス
それはもう大分手遅れなのでは…?
ドンッ!
ガンマス・カナデナ
ガンマス・カナデナ
デスワァ!!
ガンマスの声が響き、天井が揺れた。
ヒナ・ヒスラ
ヒナ・ヒスラ
きゃっ!
レイラー・ポズン
レイラー・ポズン
いつもより声がでかい……能力使った?
ガンマス・カナデナ
ガンマス・カナデナ
使ってません!ただ声がいつもより大きいだけですワ!
ルカ・ヒスラ
ルカ・ヒスラ
被害出てる時点でアウトや
カコ・ハナフ
カコ・ハナフ
……あの
控えめに、カコが手を挙げた。
カコ・ハナフ
カコ・ハナフ
マーキングが、変です。
空気が静まる
カコ・ハナフ
カコ・ハナフ
人じゃなくて……
 能力が動いた“あと”に印がついてます
イエ・マグリ
イエ・マグリ
あと…?
イエモンが眉をひそまる。
カコ・ハナフ
カコ・ハナフ
使われた、というより……
 通り過ぎた感じです
チャコ・ハナフ
チャコ・ハナフ
じゃ、軽く試すね
チャコが武器生成を行う
短剣が一つ、手のひらに現れる。
 ――次の瞬間、消えた。
全員
え"
3秒遅れて壁に突き刺さる
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
…時間差、ですか。
メメントモリが目を細める
グサ・アニラス
グサ・アニラス
転移でも加速でもない…
レイラー・ポズン
レイラー・ポズン
でも似た挙動はしてるね
チャコ・ハナフ
チャコ・ハナフ
能力が、混ざってる…?
チャコが呟いた。
ルカ・ヒスラ
ルカ・ヒスラ
混線しとる…
ルカが腕を組む。
ラテ・バルト
ラテ・バルト
仕組みに絡まってる?
ラテ・バルト
ラテ・バルト
雑に言うと事故的な?
ラテがまとめる。
チャコ・ハナフ
チャコ・ハナフ
雑すぎる…
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
 メメントモリは、黙ってそれを聞いていた。
 大鎌に映る影が、
 一瞬だけ、別の形に歪んだことに気づきながら。
 だが、何も言わない。
ウパ・ウォール
ウパ・ウォール
整理します。
ウパパロンが口を開く
ウパ・ウォール
ウパ・ウォール
今発見した要素はこれ
メモ
・『能力が、個人に完全には固定されていない』
・『使っていないのに、動く』
・『複数の性質が重なる』
ゼン・コパス
ゼン・コパス
迷子能力で草
ゼンコパスが笑う
カコ・ハナフ
カコ・ハナフ
笑い事じゃない…
誰も、
 なぜこうなっているのかまでは掴めなかった。
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
暫定対応を取ります。
メメントモリが静かにそういった。
全員がそちらを見る。
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
能力同士の距離を取ること、
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
能力をできるだけ制御すること。
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
そしてーー
一拍、間を置く。
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
ーー無理をしすぎないこと
ラテ・バルト
ラテ・バルト
……それだけ?
ラテが目を細める。
メメ・ダクネス
メメ・ダクネス
それだけです。
 嘘は言っていない。

 全部は言っていないだけだ。
 ただ、
 誰にも見えない“気配”に向けて、心の中で呟く。

(――まだ、静かにしていなさい)

 返事はない。

 けれど、背後の影が、
 ほんの少しだけ、
 楽しそうに揺れた気がした。
私にしては早い!

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