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第1話

そういえばお前はそういうやつだったよな
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2024/01/06 09:06
(なまえ)
あなた
……へぇ、こりゃご立派な幻覚なこった。
トラウマを呼び起こすタイプの幻覚か
フョードル・ドストエフスキー
確かに僕は幻覚です。
ですが起きている事実は1つ。
あなたの心に留めていた大切な人というのが、僕というだけのことです。
フェージャはニコッと不気味に笑う。
相変わらずの趣味の悪さだ。


然し本人は私を惑わそうとするわけでなく、寧ろ自分から消えようとしている。
フョードル・ドストエフスキー
僕はいずれ消えます。
その前に一つだけ、あなたに聞きたいことがあるのです。
(なまえ)
あなた
手短に終わらせてくれ
フョードル・ドストエフスキー
勿論。
____何故僕を選んでくれたのですか?
(なまえ)
あなた
…………
そんなの、私が一番知りたい。
容赦なく人を蹴落とし、欺くこいつの顔なんて____
見たくないというのに。
(なまえ)
あなた
(何でかな。悪くない思い出が出てくるんだ)
どんなに嫌いと思ってても、それでも私を家族のように____家族として傍にいてくれたこの人を。
家族だからと、憎むことができないのだ。
(なまえ)
あなた
人の気持ちを無碍にするほど、腐ってないよ。
フョードル・ドストエフスキー
____そうですか
(なまえ)
あなた
私からも一つ、いい?
フョードル・ドストエフスキー
なんでしょう
(なまえ)
あなた
どうして自分から消えるような真似をする?
幻覚であろうと、いくらでも私のことを連れ去ることはできたはずだろ
フョードル・ドストエフスキー
僕はこの手であなたを手に入れたいのです。
このやり方は、僕の好むようなものではありませんから
(なまえ)
あなた
あっそ。
そういえばお前はそういうやつだったよな。
自分の手で支配しなければ満足しない、相手のことなんか信用しちゃいない。
それがフョードル・ドストエフスキーだ。
フョードル・ドストエフスキー
さあ、どうぞ。
僕を撃ってください。
(なまえ)
あなた
____ああ
私は銃を構えて、フョードルの幻影を撃ち抜いた。
霧が晴れた頃には、周りには誰もいなくなっていた。
太宰さんも、敦も、誰もいなかった。


























萩原朔太郎
お嬢、そろそろ離脱です
柳原白蓮
はぁい
尾崎紅葉
鏡花、私らも離脱するぞ
もう船が沈んでしまう
泉鏡花
っ……わかった

















国木田独歩
太宰!?
中島敦
国木田さん、すぐに太宰さんの止血をしないと…!
与謝野晶子
妾がやる。
太宰の奴を寄越しな!
ナオミ
あなたさんは…?
あなたさんは、どこにいきましたの!?
江戸川乱歩
____どうやら、敵の策略に嵌ったようだね
中島敦
すみません…
福沢諭吉
気に病むな。
マフィアの方でも重力遣いの中原中也が行方不明らしい
谷崎潤一郎
えっ、あの人まで…?
太宰治
____中也のことだ。
勝手に暴れているんだろう…
中島敦
太宰さん、無理しないほうが…
与謝野晶子
…とりあえず、体勢を立て直す他ないんだろう?
福沢諭吉
ああ。
絶対にあなたも奪還する。
ナオミ
(____あなたさん…)

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