冬弥…と自己紹介してくれた子は顔を上げてこちらを見た。
眉を下げながら言い淀む、彼の顔をじっと見つめる。
見れば見るほど妖精のような容姿をしているなんて場違いな思いを抱いた。
その言葉を聞いた時、何となく思った。
ただの妄想。そう思っただけ、確信はつけていない。
でも、その言葉が一番しっくりきた気がした。
また、眉を下げて苦笑する。
モヤッ
変な気持ちを抱えながら彼の顔を見る。
よく見たら少し疲れたような顔をしていた。
それは今が夜だからなのかは分からない。でも、彼のために何かをしてあげたい…しなくちゃと脳が指示をする。
私の声を聞いて、彼は目を見開いた。
いつもの声じゃなくて”本当の私”の声を出したから。
また、彼は目を見開く。
急に歌おうと言われて脳が処理しきれていないのか数秒間固まってから目元を緩めて、「はい。」と嬉しそうな顔で答えてくれた。
本当の私を受け入れるのが早くないかな、と思ったがそのまま歌おうとしたところで少し窄んでいく声でこう、発した
今度は私が見開く番だった。
あんなにも綺麗な歌声を響かせていたと言うのに、誰かとデュエットをするとなるとどうも自信がなくなる子らしい……彼は気づいてないのだろうけど
そんな彼を見てちょっと罪悪感が生まれてしまったけど、それよりも彼の歌声を聴かないと、と脳が急かしてくる
少し、目を泳がせた彼はこちらを見て
小首を傾げながら
この子は神童かなにかなの…?、とやっぱりびっくりする。
明るい顔で彼は返事をした。
そんなに歌える事が嬉しいんだ、と内心暖かくなってくる。
彼はハモを入れ始めた、メロより数倍高い音を風に乗せて響かせる。
そう、思って次の音をのせようとした瞬間
私達の目の前に淡い光が飛んだ。
その光は、あの時と同じ光だった。
|彡.。.:*・゜シャラン.*・゚ .゚・*.














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。