第9話

No.8
3,398
2021/02/21 22:06


すぐにゆっくりと扉が開いて









ぶかぶかの俺のスウェットを着て



濡れた髪を揺らしながらあなたが出てきた






渡辺翔太
おい!どうしたんだよ!
あなた
えっと…あの…あれ…




あなたはゆっくりと洗面台に並んでる




俺の美容用品を指差す





渡辺翔太
え…?
あれがどうかした?
あなた
わ…わたし
大学で化粧品の研究とかしてて
これはこの前〇〇製薬とその…
うちが共同開発した美容液!
これは肌の細部まで浸透する
有名な△△会社の乳液!
それにこれ!!これ!!
このイオン導入美顔器!!!
めっちゃ欲しかったのに
買えなくて…


ずっとぶっきらぼうで表情も変えず



つねに敬語で冷たく俺に話してたこいつが



人が変わったかのように明るくなって



笑顔で、目なんかキラキラさせて



俺の美容グッズ眺めながら話してて



可愛いすぎだろ、こいつ…笑




素直にそう思った





俺はあまりにもその変貌ぶりに




大爆笑してしまった







渡辺翔太
あは…
あはははははは!!!!





するとあなたは気付いたのか




笑顔が消えて黙ってしまい下を向く




あなた
取り乱してしまって
すみませんでした。




そう言い足早に廊下を歩こうとする



渡辺翔太
ちょっとまて!
これ、使わないの?




すると   クルッ と振り向き




また笑顔を見せてくる




あなた
つ…使っても…
ほんとに…
使ってもいいんでしょうか?



ウルウルした目で俺を見上げてくるこいつは



たまらなく可愛かった




渡辺翔太
いいよ ニコッ



あなたは洗面台の前でいろいろ手に取っては




頷いたり考えたりなんか驚いたりしながら




肌の手入れをしてた




あなた
ありがとうございました



そう言うとリビングに歩いて行った




渡辺翔太
俺も風呂入るわ
テキトーにくつろいでて
冷蔵庫に水とか入ってる!
勝手に飲んでいいからね
あなた
いただきます



また笑顔がなくなり無愛想なあいつになった






でも笑顔も見れてあいつが美容が好きって




わかって勝手に仲良くなれた気がしてた




なんだろ、   "嬉しい" そう思ってしまった




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