すぐにゆっくりと扉が開いて
ぶかぶかの俺のスウェットを着て
濡れた髪を揺らしながらあなたが出てきた
あなたはゆっくりと洗面台に並んでる
俺の美容用品を指差す
ずっとぶっきらぼうで表情も変えず
つねに敬語で冷たく俺に話してたこいつが
人が変わったかのように明るくなって
笑顔で、目なんかキラキラさせて
俺の美容グッズ眺めながら話してて
可愛いすぎだろ、こいつ…笑
素直にそう思った
俺はあまりにもその変貌ぶりに
大爆笑してしまった
するとあなたは気付いたのか
笑顔が消えて黙ってしまい下を向く
そう言い足早に廊下を歩こうとする
すると クルッ と振り向き
また笑顔を見せてくる
ウルウルした目で俺を見上げてくるこいつは
たまらなく可愛かった
あなたは洗面台の前でいろいろ手に取っては
頷いたり考えたりなんか驚いたりしながら
肌の手入れをしてた
そう言うとリビングに歩いて行った
また笑顔がなくなり無愛想なあいつになった
でも笑顔も見れてあいつが美容が好きって
わかって勝手に仲良くなれた気がしてた
なんだろ、 "嬉しい" そう思ってしまった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。