あなたside
毎日のリハビリに定期的な検査。
結果を聞くと体は少しずつではあるが
回復に向かってるとお父さまに言われた。
でもわたしはよくなってると感じられない。
事故の後遺症でまだ歩けないこと
一部分記憶が戻らないことは変わってないから。
ぼーっとしてるとドアのノック音が聞こえた
すぐにお父さまが入ってきて
そのあとに続いて一人の男の人が入ってくる。
見た感じ、わたしよりも年上のひと。
お父さま『今日からあなたの主治医になってもらう。
紹介しておこうかと思ってな。』
後ろにいた男の人はペコッ と頭をさげた。
お父さま『水野くんだ。まだ若いが、
脳外科のスペシャリストだ。』
何かいいことでもあったのか
めずらしくお父さまが笑顔で話している。
お父さまの後ろからこっちに一歩踏み出して
笑顔を見せながら話始める
お父さま『では、水野くん。あとはよろしく』
白衣の胸元でケータイが鳴り足早に病室を出ていく。
水野先生はお父さまに静かに頭を下げてから
わたしの方に向き直す。
二人きりになった病室。
さっきよりもフランクに話しはじめて
差し出された先生の右手を少し見つめてから
わたしも右手をだして握手をする
繋がれてる点滴や機械の数値などを真剣な表情で
確認するとまた笑顔になった
そのあと、水野先生はいろいろな質問をしながら
優しくゆっくりと話を聞いてくれたり
自分の話をたくさんしてくれた。
最初は緊張や抵抗があったけど途中から
それもなくなり少しずつ笑えたり
スムーズに話すことができるようになった。
他愛もない会話を続けていると
コンコンコン
と病室の扉をノックする音が聞こえた。
水野先生は サッ と立ち上がった
静かに戸を開け綺麗なお辞儀をして
水野先生は出て行った。
目黒さんは目を細めて白い歯をみせて
わたしに笑って見せた。
カバンの中をゴソゴソと探すと
携帯電話を手渡された。
2人で携帯を見ながら
あーでもない。こうでもない。
こっち?これは?なんて言いながら
やっと翔太さんにメッセージを送れた。
病室を出ていくのを見送ると
携帯が ブーーーーーン と振動音をだした
めめから受け取ってくれたんだ。
俺はいま撮影中。
ぶっきらぼうな返信が届いた。
なぜか新鮮な気持ちとは違う懐かしい気持ちを
感じながらまた返信を返そうと指を動かした。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!