第3話

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2026/03/15 06:59 更新





      I must have been dreaming.
      きっと夢を見てたんだ。
      I almost wish I could think that way.
      いっそ、そう思ってしまいたい。






     離婚した母を恨んだ死んだはずの元父親が
     怨霊になって 母を殺したらしい。
     10歳だった頃の私は 難しいことは
     頭に入らず、ただ "母がいなくなってしまった"
     という事実だけが頭の中に記録されていた。
     その当時私を施設に入れる手続き等を
     行ってくれたこのよく分からない組織だけが
     強い印象だった。
     18歳。成人して施設をでて、
     自由に暮らすはずの予定が すべて崩れ落ちた。
.
 被害者は 都内在住の ササキ ヨウコ氏だ。 
 まずは被害者の周辺を手当たり次第探せ。 
(なまえ)
あなた
 ‥… 
 エステラ
 エステラ
 あの…大丈夫ですか? 
(なまえ)
あなた
 あ、すみません。 
 少し考え事をしていて。 
 エステラ
 エステラ
 あなたの名字さんでしたっけ?初任務ですもんね。 
 何か手伝える事があったら言ってください。
(なまえ)
あなた
 ありがとうございます 
     きっとあの訳も分からず入れられた
     孤児施設は 成人したら自動的に
     この組織に入れられるシステムだったのだろう。
     あんなに優しかった大人たちも、
     私の話を聞いてくれたカウンセラーのお姉さんも
     全員、私を騙してたってことだ。
     私、何であんなに自信満々で
     教師になる夢語っちゃったんだろう。
     カウンセラーの人は内心笑ってたのか?
.
 あなたの名字!呆気にとられてないで 
 早く作業に取りかかれ!
(なまえ)
あなた
 すみません… 
     私は一生ここで暮らすのだろうか?
     こんなよく分からない組織で?
     適当に続けて切りの良いところで
     転職しよう。そうだ 今のうちに
     他の仕事を探してみよう。
     そしたら 少しは希望が

     ガシャンッ

 シビー
 シビー
 失礼。速度基準を見誤りました。 
 修理は後程 現在任務執行中ですので。 
 シャイト
 シャイト
 シビー!やっぱり応援要請を出した方がいいよ! 
 ちょっとまって、僕が今から…
 シビー
 シビー
 シャイト。私は人工知能だ。 
 故障しても修理すれば治る。応援要請はいらない 
 シャイト
 シャイト
 でも… 
     初めて  身体が恐怖によって硬直する
     という感覚を覚えた。
     割れた大きな窓から見えるのは
     おぞましい黒い影。太陽を
     防ぐほどの大きさだった。
     黒い影を見つめる。
     いや、目を離せないと言ったほうが
     この場合は正しかった。
 佐々木  彰太郎
 佐々木 彰太郎
 シャイト!ここはまずい、 
 今日は初任務の一般隊員もいる。 
 佐々木  彰太郎
 佐々木 彰太郎
 早く場所を移動しよう。シビーも。 
 シビー
 シビー
 理解しました 
 シャイト
 シャイト
 ぁちょっとシビー! 
 待ってよ…!
     小柄で自らを人工知能と称していた人は
     飛ぶようにして 遠く離れたビルの屋上に移動した。
     そして 黒い影はそれをついて行くようにして
     どこかへと消えた。
 エステラ
 エステラ
 あなたの名字さん!大丈夫でしたか‥? 
 硝子の破片が散らばってるので、 
 気をつけて逃げましょう。
(なまえ)
あなた
 ぁ、…すみません 
      初任務の一般隊員とは
      私のことだろうか。
      それともこの人も含めての事だったのか‥?
(なまえ)
あなた
 あの、エステラ  さんですよね 
 貴方も 初任務なんですか?
 エステラ
 エステラ
 私ですか?私は‥ 
 貴方の案内役の一般隊員ですよ。 
 エステラ
 エステラ
 すみません、何故だがもう紹介してる 
 つもりでした。改めてよろしくお願いします。 
(なまえ)
あなた
 そうなんですね‥ 
 よろしくお願いします‥! 
 エステラ
 エステラ
 まぁ、案内役といっても 
 簡単な施設説明ぐらいですけど。 
     大人びているように見えた彼女は
     そう言って少し無邪気な笑顔を見せた。




 シビー
 シビー
 ビピッ  ピー  ガラガラ ビピ  ピー ‥ 
 シャイト
 シャイト
 どうしよう‥シビーやっぱり無理してたんだよ 
 もう何を話しても声を発さない
 佐々木  彰太郎
 佐々木 彰太郎
 シビーは今記憶処理を行ってるんだよ。 
 修理したあとに記憶をなくさないように。
 佐々木  彰太郎
 佐々木 彰太郎
 シビーは無理しがちだからな‥ 
 シャイト
 シャイト
 …あの怨霊、確か 犬なんだよね? 
 佐々木  彰太郎
 佐々木 彰太郎
 確かそうだ。元飼い主を 
 殺したんだよ。虐待的な形跡は無かったらしいけど。 
 シャイト
 シャイト
 未だ調べる価値はあると思うんだけど‥ 
 佐々木  彰太郎
 佐々木 彰太郎
 シャイトの言い分もわかる。 
 だが俺達は一般隊員だ。上層部には従うしかない 
 シャイト
 シャイト
 …… 

     段々と拡大していく黒い影は
     何かに嘆きながら 嗄れた遠吠えをあげた。








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