俺は家に帰るとすぐに自室のベッドに横たわり、仮眠をとる。
夜は起きていなければならない。
今のうちに仮眠しておかないと身体がもたない。
だが最近はその仮眠さえ効果を失いかけている。
22時31分、電話の着信音で目が覚める。
チーノからだった。
俺はワンコール鳴り切る前に通話ボタンを押した。
チーノは暢気な声で電話に出た。
俺は自分がいじめられていることをチーノに知られるのはまずいと思い、昼休みなどはトイレの個室で過ごしている。
だからチーノと最近学校で話すことがない。
チーノは自分と会わないことに違和感を覚えたのか、本当にただ寂しいだけか、夜によく電話してくるようになった。
俺も電話に出ないことは失礼だと思い、毎日電話に出ていた。
いや、俺はチーノとの電話を精神安定剤にしていたのかもしれない。
そう言って笑うチーノの声を聞いていると、安心して、目が潤んだ。
チーノは他愛の無い話をし始める。
俺はそれを相槌をしながら聞いていた。
気づかないうちに涙交じりになっていたのかもしれない。
チーノが突然話を辞めて、
と心配そうな声で問いかけてきた。
俺はしまったと思い、咄嗟に
と誤魔化した。
チーノを誤魔化しきれたのかは分からないが、チーノは
とまた話し始めた。
俺はしっかりしろと自分の頬をつねった。
そして赤紫色に変色していたチーノの頬を思い出した。
そうだ、俺はチーノを不安にさせてはいけない。
チーノをかばったせいでおれがいじめられ始めたことを知ってしまえば、きっと自分を責めてしまうだろう。
絶対にバレたらあかん、気を引き締めなあかん。
俺はもう一度それを心に決めた。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。