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第6話

episode.5
222
2025/12/01 11:00 更新
翌日、リリィは部屋から出て来たが、
何時もとは何処か違っていた。
話しかけられる迄碌に話しもせず、
何もやる事が無い時は、ぼーっとしていた。
まるで、少しあった感情が
全て搾り取られて無くなった様だった。
エース
エース
リリィせんぱーい!!
エース
エース
…リリィ先輩?
流石のエースでも、彼女の変化に気づいた。
エース
エース
どうしたんすか?
リリィ
リリィ
何でも無いよ
彼女は無機質な声で答え、また静かになった。
デュースやユウ、グリムも話しかけたが、
反応はほぼほぼ同じだった。
心当たりはただ一つ。
彼女が学年3位だったという事。
しかし1年生達には、何故そんなにも
様子が変わってしまったのかが
分からなかった。


エース
エース
リリィせんぱーい!!
デュース
デュース
ローズハートせんぱーい!!
ユウ
ユウ
リリィせんぱーーい!!!!
理由が分からない1年生達がとった方法。
それは “ しつこく付き纏う “ だった。
何回も何回も話しかけられ、
リリィは終に振り返った。
リリィ
リリィ
煩い。放っておいてくれ
リリィ
リリィ
ボクの事情を何も知らないのに
エース
エース
あのさぁ
エース
エース
テストで3位だったんでしょ?
充分イイ成績じゃん!
エース
エース
どうしてそんなに
落ち込んじゃうワケ?
デュース
デュース
確かに、エースは
ランキングに入ってすらも
いなかったもんな
エース
エース
お前に言われたかねーよ、
バカジュース
デュース
デュース
ジュースじゃない!
デュースだ!でゅ!
リリィ
リリィ
3位なのは許し難い失態だ。
リリィは顔を背ける。
ユウ
ユウ
…ねぇ、先輩
ユウ
ユウ
自分、色んな人々の
過去を聞いてきたんです
リリィ
リリィ
…!
ユウ
ユウ
ある人は母の言う事を
完璧に守り抜く事を
強制されてきた
ユウ
ユウ
ある人は生まれたのが
ほんの少し遅かったから
身分の違いで蔑まれた
ユウ
ユウ
ある人は身体的特徴を
揶揄われて虐められた
ユウ
ユウ
ある人は身分の所為で
自分の全力も出せなかった
ユウ
ユウ
ある人はずっと
最後まで舞台に立っている
事が出来なかった
ユウ
ユウ
ある人は天才だからこそ
何1つとして同じものは無い
大事なモノを失った
ユウ
ユウ
そして…
ユウ
ユウ
ある人は周りと自分の違いで、
ずっと大切な人を失ってきた
ユウ
ユウ
貴女はどうですか?
リリィ
リリィ
…っ
ユウ
ユウ
貴女がいつも付けている
腕輪…もとい手錠
ユウ
ユウ
何か意味があるでしょ?
リリィ
リリィ
な、何で……っ
ユウ
ユウ
お願いします。
どうか自分達に教えて下さい
エース
エース
オレ、リドル寮長みたいな
失態はもう見たくないんすよ
エース
エース
手遅れにならないうちに
止めたい
デュース
デュース
僕もです
デュース
デュース
少しでも力になれるかも
しれないし…!!
リリィ
リリィ
………
リリィは長いこと黙り込んでいた。
そして、やっと口を開く。
リリィ
リリィ
…此処は嫌だ
リリィ
リリィ
お兄様に聞かれたくない
リリィ
リリィ
いや、お兄様は
”聞いてはいけない”
ユウ
ユウ
!!!
エース
エース
!!!
デュース
デュース
!!!
リリィ
リリィ
だから、場所を移そう
リリィ
リリィ
リリィ
リリィ
……
エース
エース
先輩くらいの実力者なら、
転移魔法くらい
使えるんじゃないの?
ユウ
ユウ
こら、敬語
デュース
デュース
でも、転移魔法って
ドラコニア先輩とかが
使ってるやつじゃ…
リリィ
リリィ
使って、良いのかな
   「リリィ先輩、大丈夫ですってば!」
3人が言う。
リリィ
リリィ
…はぁ
リリィ
リリィ
分かった、皆
ボクに掴まって
デュース
デュース
…?はい
全員が掴まると、
リリィは転移魔法を使った。

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