第8話

#8:勇乃救出作戦 ‐3
75
2024/03/12 12:00
...ここの隙間から3部屋くらい見れるな。
爽人の動き、考え
俺は天井裏を匍匐前進ほふくぜんしんで進んでいる内に、ちょうどいい隙間を見つけた。
本文代理
下ではまだ騒ぎ声が聞こえる。
爽人の動き、考え
一応、天井裏への入口は天井裏に敷き詰めてあった砂袋で開かないようにした。
爽人の動き、考え
さて、ここで問題だ。
この状況からどうやって勇乃を見つければいいんだろうか。
爽人の動き、考え
見た感じ、この建物は3階建てで屋上まである。
爽人の動き、考え
正解は、
...なんでこんなところに?
爽人の動き、考え
さらに匍匐前進ほふくぜんしんで進むと、一万円札が3枚置いてあった。
爽人の動き、考え
一万円札の真上の板(二階の床だと思う)だけ素材が違う。
爽人の動き、考え
触ると少しザラザラしている。
陶器か?
爽人の動き、考え
俺はそーっと、陶器らしきものをずらした。
爽人の動き、考え
床に穴が空いている。
ここから出れそうだな...
爽人の動き、考え
俺は音を立てないように、穴から外に出る。もっとも、ここは室内だが。
爽人の動き、考え
陶器らしきものの正体は、結構大きめの鉢のようだ。
爽人の動き、考え
3万円は...誰かのへそくりだろうか。
爽人の動き、考え
そしてここはどこだろうか。
爽人の動き、考え
見渡す限り、普通の部屋ではない。偉そうな人が座る椅子も置いてある。
ここは一体...
本文代理
ガゴォン!!
本文代理
そのような音をたてて、部屋のドアが蹴り破られた。
誰だ!
加藤 竜也
加藤 竜也
誰だ?はこっちのセリフだ!!
本文代理
大男が怒声を発しながら近づいてきた。
爽人の動き、考え
想像以上の声量と迫力に、足がすくんで動かない。
爽人の動き、考え
こいつは駄目だ。戦ってはいけない。
爽人の動き、考え
俺の危険信号が大音量でそう告げている。
加藤 竜也
加藤 竜也
好き勝手荒らしてくれやがって、何しに来やがった!!!
本文代理
男が俺の胸ぐらを掴んで怒鳴った。
  ッ...!
爽人の動き、考え
俺は震える手で木刀をしっかりと握った。
爽人の動き、考え
左腕はナイフが刺さったばかりで力が入らない。使えるのは右腕だけだ。
う、うおおおぉぉぉ!!!
爽人の動き、考え
俺は声をあげて木刀を横に振った。
本文代理
カァン!
本文代理
...もろに当てたはずだ。
本文代理
男はびくともしていない。
加藤 竜也
加藤 竜也
...なにしてるんだ?
爽人の動き、考え
終わった。文字通り、俺はジリジリと部屋の角に追い詰められていく。
本文代理
外では雨が降り始め、建物の窓を雨が叩いている。
本文代理
男の足元の床の木の板がギシッと音をたてた。
今だ!
爽人の動き、考え
その瞬間、俺は男の脇をくぐり抜け、部屋の外へと走った。
加藤 竜也
加藤 竜也
あ!おい!
爽人の動き、考え
俺は走りながらスマホを取り出し、110番を押そうとした。
爽人の動き、考え
0を押す直前に気付いた。警察に通報すれば不法侵入で俺が悪いことになる。
加藤 竜也
加藤 竜也
待て!
爽人の動き、考え
同時に鳴った雷に男の声は掻き消されたが、なんて言っていたかは簡単に想像できた。
爽人の動き、考え
一階に逃げるか?いや、駄目だ。一階は人がうじゃうじゃいるし、ナイフ野郎が紛れている確率が高い。
爽人の動き、考え
俺はばったり出くわしてしまった男の仲間らしき奴の腹を突きながら距離を確認する。
本文代理
男との距離はまだある。
爽人の動き、考え
俺は"3階ルート"に賭けることにした。
本文代理
この選択が間違っていた。いや、間違ってはなかったんだけど、最初から大人しく天井裏に潜伏しているべきだったのかもしれない。
嘘だろ!?
本文代理
3階は閉鎖されていた。
爽人の動き、考え
神はついに運までも俺から奪っていったのか!
爽人の動き、考え
次、俺がまばたきを終わらせたときには、男に担がれていた。

プリ小説オーディオドラマ