京都長期任務、最終日
目の前には石畳の坂道。
土産物屋や茶屋が並び、
香ばしい匂いが風に乗って漂う。
そう。私は
清水寺周辺で一人京都観光をしていた。
「いらっしゃい~!!」
「おいしい漬物あるよー」
「お母さん!あれおいしそう!」
「抹茶ソフトもおいしそうだよ!」
通りを歩く観光客たちの笑い声が響く参道。
今まで、術師として使っていた夜の道も
昼間にはこんなに賑やかになることに驚いた
清水寺の本堂についた私は
舞台の端に立ち
京都の街を見下ろす。
高所から見下ろす街の景色は、
任務では決して味わえなかった、
静かな時間だった。
だが、
その静寂は長くは続かないもんだ。
——地面が、突然ぐらりと揺れた。
そして_____
重力に引かれるように、
私は暗く湿った清水寺の地下へ落ちた。
正体不明の血塗れ瀕死男に遭いました。
どうやら私はまだ帰れないみたいです。
出張帰りに巻き込まれた→START












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!