第8話

タッグ
394
2020/12/18 09:01
てつや「怪盗ハジメーン、確かによくよく考えればしゃちょーっすね、何の捻りもないし」
はじめしゃちょー「悪かったな、てつやこそTじゃん」
はじめしゃちょーは被っていたシルクハットを取り、杖をくるくる器用に回していた
てつや「で?ほんとの用って何ですか?まさか正体をバラすだけじゃないっすよね?」
はじめしゃちょー「さすがてつや、じゃあ本題に入ろうか」
杖を回すのをピタッ止め、真剣な顔でてつやを見る
はじめしゃちょー「単刀直入に言うよ、俺とタッグを組んで欲しい」
てつや「タッグ?」
タッグ、となるとチームもとい相棒ということだ
てつやは猫をたまに仕事に同行させるが、他の怪盗とは仕事をしたことがなかった
はじめしゃちょー「今度ある大物の宝を盗むんだけど、その仕事をやるにあたって、一人じゃ無理なんだ、だから一時的でいい、俺とタッグを組んで欲しいんだ」
断る理由がないてつや
頼られるのは嬉しい、だが何の仕事なのか気になって聞いてみた
てつや「何を、盗むんですか?」
はじめしゃちょー「何だっけ...あっ、レッドサンイヤリング!!」
てつや「うわっ、めっちゃ盗むの大変じゃないっすか!!」
レッドサンイヤリング、その名の通り、赤い色の太陽の形をしたイヤリングで、それが展示されてるブースのセキュリティは万全にも程がある
てつやですらくぐり抜けるのは難しい
はじめしゃちょーがタッグを組みたい理由もよく分かる
まぁてつやはそんな面倒なやつじゃなく、楽な物を盗んで憎き怪盗を探している
てつや「なんでそれ盗もうとしたんですかしゃちょー...」
はじめしゃちょー「一つは単純にカッコいいから欲しい、一つはてつやのためさ」
てつや「俺?」
はじめしゃちょー「その宝は、今てつやが追っている怪盗の手がかりになるかもしれない」
てつや「!?そこまで知ってたんですね...」
はじめしゃちょー「てつやのおじいさんとは、宝を盗んだとき結構な確率でぶつかったからね、会う度てつやの自慢しかしてなかったよ...亡くなったって噂を聞いて、ショックだった、おいらの憧れだったから」
自分の祖父に褒められて、憧れられて嬉しい反面、自身が追っている怪盗の手がかりになる宝と聞いて、決心する
てつや「元々そのために怪盗をしてるんだ、タッグ組みます!やるからには全力で」
はじめしゃちょー「そうこなくっちゃ!!!」
てつやとはじめしゃちょーはお互いに納得し、これから宜しく、という意味で握手した
はじめしゃちょー「ちなみに盗み出すの一週間後のU-Fes前日の夜だから宜しく!」
てつや「...はい?」
あまりの時間の早さにてつやは頭を抱え、はじめしゃちょーはよっしゃーと気合いを入れていた





プリ小説オーディオドラマ