今日は冬が余命宣告されてから二日目だ。
今は二人で外を歩いている。
無意識に手も繋いで、
私は冬にくっつき、甘えている。
いなくなることが怖くて
離れられないのだろうか。
二人で微笑みながら適当な会話をする。
これだけでもよかった。
冬と話すだけで十分楽しかった。
今は歩いてすぐ来れるが、
ここはとってもいい雰囲気のカフェだ。
私が告白してから初めてのデートは
ここで起こった。
礼儀を遵守して、こう言う遠慮もしてくれる
優しさが、私は大好きだ。
つい驚いた。
変更したかったものを全部当てた。
覚えてるのだろうか。
冬は余計なことを言う。
女子の天敵である。
そうして、注文がまとまった。
ベルを鳴らすと、すぐに店員さんが来てくれた。
注文を繰り返される丁寧な接客を受け、
私たちはパンケーキを心待ちにした。
私はまた顔を赤らめたのを自覚した。
…しかし、引っかかった。
「あの時」に。
私は恥ずかしかったのを誤魔化すように
携帯を触り始めた。
誤魔化しに気づいたのか、
冬が話しかけてきた。
めんどくさい絡みをしてくる。
でも別にこういうのが嫌いなわけじゃない。
冬は昔からとてもからかい上手。
ちょうどいいと思って簡単な返事をしたのに
冬は面白がってる。
今度仕返しを考えておこう。
こう見えてあまり純粋じゃないのは
冬には秘密にしている。
そうして会話をしていたら、
パンケーキを運んでこちらに向かう
店員さんが見えた。
私たちの席に近づき、
豪華なパンケーキを二つ、机に置いた。
冬は自分のパンケーキをナイフで切り、
私のパンケーキの乗る皿にイチゴと共に置いた。
でも私の求めていたことには届かなかった。
私は無言で自分のパンケーキを
フォークに刺し、冬に差し出した。
冬はそれだけ呟いて食べてくれた。
開く口はいつもより小さくて、
かわいらしかった。まるで女子のように。
本当に鈍感である。ここまでされてわからない。
かなりの純粋だ。
そうやって話していたら、
あっという間にパンケーキは消えてしまった。
まだ昼の2時。
明日もまた出かける。
でも、百日毎日遊ぶと言うわけで、
一日に二店までしか行かない、というのを冬と決めた
気の抜けた返事だ。
本当に覚えててくれるだろうか。
そう言ってまだ人のいる帰路を、
他人に見せつけるように
手を絡めて歩いた。なんだか気持ちがよかった。
いなくなるまで間もない生活の始まり。
終わってしまったらもう冬は亡い。
だからこそ。
〜あと、99日だけ、愛してあげたい。〜












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。