第11話

 010 . 焼肉と金
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2026/03/14 11:00 更新





あなた 
ちょっと待って、……じょ、叙〇苑?!
高級焼肉店じゃん!!





   案内されて着いた先は、
   まさかの高級焼肉店として名高い叙々〇。

   こんな所に私みたいな貧乏人が
   入っていいのか分からなくて、
   扉の前で固まってしまう。

   ……というか、足が震えてきた。




あなた 
食べ放題に行きたいって
言ったはずなんだけど?!
 酒寄 朝日
好きなだけ食べればいいだろ?
あなた 
……これだから金持ちは嫌なんだよ





   舌打ちと共に朝日を睨みつければ、
   そんなの気にしていないような笑みで
   手を引かれる。




 酒寄 朝日
いいから入るぞ。
店、潰すんだろ?
あなた 
……待って、足の震え止まらないから!
今のわたし、産まれたての小鹿だから!!
 駒沢 乃依
ふはっ…さすが貧乏姫。
リアルでも期待を裏切らない面白さ
 駒沢 雷
あなた、大丈夫だ。
肉は襲ってきたりしない





   3方向からグイグイと、押され引っ張られ……。

   こうして私は、半ば強引に
   叙〇苑の入口をくぐった。
   いや、くぐらされた。



   店内に入れば、高級そうな
   匂いが鼻を満たして、

   これだけでご飯食べれるな……
   なんて思ってしまう。




 店員
いらっしゃいませ。
何名様ですか?
 酒寄 朝日
4人で予約してた酒寄です
 店員
酒寄様ですね。
お待ちしておりました、
お席へご案内させていただきます





   高級店特有の接客。

   効率重視のチェーン店とは違う、
   美しさを追求したような、

   この接客態度にすら
   お金がかかっているような話し方。




あなた 
さすが高級焼肉店。
とりあえずこの匂いを服に染み込ませて、
しばらくは服に付いた匂いでご飯食べる
 駒沢 乃依
…… 知り合いだと思われたくないんだけど
 駒沢 雷
ここまでくると、発想が天才的だな
あなた 
いやぁ~それほどでも
 駒沢 乃依
どう考えても褒めてるワケないよね~?
あなた 
暴力反対ーー!!





   乃依に両頬を引っ張られ、
   ほっぺの肉が伸ばされてジンジンする。

   でもバイト漬けの私には
   誰かとご飯に行くのも、
   こうやって戯れるのも、

   全部が新鮮で、全部が真新しい。



   その後、私たちは
   案内された半個室の席へと座った。

   席に座れば、すぐに朝日から
   メニュー表とタブレットを渡される。





 酒寄 朝日
好きなの頼んでいいぞ
あなた 
……朝日、これやばいよ
 酒寄 朝日
どれ?
あなた 
ここ、私の時給よりも高い肉しかない!!
 駒沢 雷
着眼点が斬新すぎる





   足の次は、メニュー表を持つ手が震えてきた。
   0の数を数えて、数えては震えが強まる一方。




あなた 
これほんとに好きなの食べていいの……?
朝日、明日からもやし生活とかならない?
 酒寄 朝日
ならない、
だから遠慮すんな
あなた 
……じゃあ、
いちばん高いやつ5人前からお願いします
 駒沢 乃依
一切遠慮しないじゃん
 駒沢 雷
あなたらしいな





あなた 
うわ、家から
タッパー持ってくればよかったかな
 酒寄 朝日
それだけはマジでやめろ
あなた 
嘘に決まってんじゃん
 酒寄 朝日
……いや、
あなたちゃんならマジでやりそう
あなた 
心外すぎる!





   それから、続々とテーブルに運ばれてくる
   肉たちを朝日が焼いてくれた。




あなた 
美味すぎ…肉って甘いんだね……
 駒沢 乃依
朝日、これ食べたい
 酒寄 朝日
乃依と雷も好きなの頼んでいいぞ。
あなたちゃん焼けたから置いとくな
あなた 
なにこれ最高すぎるっ
 駒沢 雷
朝日、俺も焼くの手伝うか?
 酒寄 朝日
いいよ。
お前らは食えって





   高級焼肉は言わずもがな美味しくて、
   さっき乃依に引っ張られた頬が
   冗談抜きで落ちるかと思った。

   それと……談笑しながら食べるから、
   もっと美味しい気がした。




あなた 
……それで、
わざわざわたしを誘った本当の理由は?





   そして食べ始めてから数十分、
   私は誰も触れなかったその話題に

   自ら触れた。




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