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第1話

hello
305
2023/01/26 12:06
リズミカルに学校の階段を下っていく
私は今日も生きている
個性 水害
名前の通り水害を起こすことが出来る。
個性が判明した時、それはもうとても嬉しかった

当時私は4歳で家族揃ってお風呂に入っていた


急に体が波に乗せられたような感覚がして目を瞑ったら両親の歓声が聞こえた
個性が現れたのだ。


湯船の水を操っていた

よく言えばサーフィンの波
悪く言えばただの津波


だが代々水個性の我が家からしたらそんなことはどうでもよく、水に関する個性と言うだけで嬉しかったんだ
次の日 病院に行って調べてもらった

医師から検査結果を聞いた瞬間
昨日まで輝いていた両親の笑顔は消え失せて、絶望したような、困惑したような表情をしていた。


その後家に帰り私にも検査結果を教えてくれた
『ねえねえ!あなたの個性なんだった?』

『きっとすごくすごいんだろうね!』

『だってままとぱぱのこどもなんだもん!』
水害
結果を知ってとても困惑した、だって簡単に人を殺めることが出来る個性だったから
とても苦しくなって泣いてしまったら
父と母が私に向かって沢山謝り始めた。
「ごめんね」「ごめん」「あなたは何も悪くない」
聞いているだけで辛かった
だから近所の海に逃げ出した
ここは小さい頃から通っていたから気持ちが落ち着く


気持ちが溢れて泣いてしまうと目の前の海が急に暴れ始めた

津波だ

軽い津波が起き始めた


このままじゃ死ぬ
焦っても何も変わらない走っても距離は狭まるばかり

覚悟を決めて目を閉じたら
誰かに助けられた
気がついたら津波は収まっていて

足元には赤い羽根だけが落ちていた。

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