6月も終盤に入り、昼も段々と長くなってきた
ジョングクと最後に会ったのはラナンキュラスを買ったあの日きり
もう2週間ばかり会っていなかった
最近は忙しく、一日に何人も仕事を入れているので帰るのも遅い
だから見かけることすらなかった
メールできた通り、ドーナツ屋の前で客を待った
客は時間から10分しても来なかった
まさか学生の悪ふざけか?いやでも、前払いだぞ
そんな馬鹿なことお金を払ってまでするか?
待たされたのは初めてだったから少し不安だった
聞き馴染みのある声がして、顔を上げた
そこに居たのは走っているせいでふわりと浮いた前髪を手で押えているジョングクだった
俺たち、てっきり友達だと思ってたけど…
会うなら家に訪ねてくればいくらでも時間を使うのに
どうして、俺と会うために大金を払ったんだ?
それに、同居してて大好きなジミナのところに帰った方がいいんじゃない?
それにしても……3時間5万だよ?
学生なのに大丈夫かな、ジョングク
どうにかして事務所に安くしてもらうよう言ってみるか?
それとも俺の給料から引く?
そう言ってジョングクは俺の背中にあるギターを撫でた
でも、ジョングクには酔っ払った時お世話になったし、今までジミナすら入れたこと無かったけど良いかもな
このくらいやっても罰は当たらないよね
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ジョングクは綺麗に靴を揃えて、行儀よく一礼した
ジョングクはリビングに飾ったラナンキュラスを見てそう言った
2週間ほど前に買ったあの日から、何一つ知らなかった花のことを沢山調べてなんとか咲かせ続けている
ジョングクはとても嬉しそうに微笑んだ
いつも冷たい俺の家に、ジョングクが居るのがなんだかむず痒くて、
ジョングクの温かさが部屋中に伝わっていくのが嬉しかった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。