【 Sakura side 】
仕事が一段落し、ベットで眠っていた彼女を起こす。
目を擦りながら起き上がる彼女は不覚にもとても可愛らしいと思った。
38,2°
さっきよりは下がっているが、未だ高い体温。
そう言って立ち上がり、歩き始めた彼女だが
ふらっと歩き、倒れそうになった彼女を支える。
そう言うと彼女は他に選択肢がないと悟ったのか私の背中に素直に乗ってきた。
いくら事情があるとはいえ、生徒を勝手に家に連れて行ったら何を言われるか分からない。
だから嫌がる彼女から何とか説明してお父さんの電話番号を聞き出し、車内に乗せて私は外で電話をかける。
できるだけ丁寧に、簡潔に内容を伝える。
放たれた言葉はあまりに冷たく、興味すらないと言った声色だった。
そう言い切る前に電話を切られてしまった。
これは私が想像していたより遥かに酷そうだ……
こんな言葉分かっていても本人の伝えるべきじゃない。
できるだけ平然を装い、そう発する。
不安そうに聞いてくる。
“あの人”とはお父さんのことだろうか……
咄嗟に嘘をついてそう伝える。
そう言うと彼女は私に近づき、右手でそっと唇に触れてきた。
彼女からぐっと距離をとり、自分の唇に触れる。
まさかそんな癖があったとは……
からかうように笑う彼女に「元気なら帰すよ」と言うと「うそうそ、まだめっちゃ具合悪いもん!」
と言われたが、本当だろうか
車を走らせること数十分、家に着いた。
横を見ると静かに眠っている。
さっき、眠そうにうとうとしていたから寝てもいいよと声をかけると、5分もしないうちに寝息が聞こえてきた。
このまま起こすのも良かったが、せっかく気持ちよさそうに寝てるならと外に出て助手席に回ると、そのまま慎重に彼女を持ち上げる。
さっきも思ったが、異様に彼女が軽い気がした。
私の力が強くなったのか、それとも彼女自身が軽いのか
恐らく後者だろう。
複雑な家庭環境で生まれ育った彼女を可哀想と思いつつ
昔の自分に重ねてしまう自分がいた。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹……














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!