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第9話

3話 【悪夢とハートのエース】
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2026/03/09 07:45 更新
朝…

交番にて。

窓から差し込む、やわらかい光。

コポコポ、とコーヒーメーカーの音。

平和。

完璧に平和。

十六夜アリス
十六夜アリス
ふわぁ…
アリスは欠伸を一つ
十六夜アリス
十六夜アリス
今日も事件がないと良いなぁ……
制服の襟を整えて。

髪を軽く結び直して。

コーヒー(砂糖とミルク入り)を飲む

いつものルーティン。
十六夜アリス
十六夜アリス
詩理亜ちゃん、今日のおやつ何がいいと思う?
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
先輩…今朝です…
十六夜アリス
十六夜アリス
計画性だよ……
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
そこ使うんですね計画性…
笑い声、終わらない朝

カチ、カチ、カチ…壁の時計が鳴る

アリスはふと、顔を上げた
十六夜アリス
十六夜アリス
………あれ?
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
どうしました……?
十六夜アリス
十六夜アリス
時計の音……こんな感じだったっけ?
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
え?
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ……

やけにうるさい

秒針の音が

やけに近い

十六夜アリス
十六夜アリス
この時計、こんなに自己主張強かったっけ
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
自己主張……
その時、コン。とドアが鳴る

ノックの音だ
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
はーい!
外へ出る。

誰もいない。

風もない。

足音もない。
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
……イタズラですかね?
ふと、足元から焦げ臭い匂いがする。

下を向くと古びたトランプ。

……少し焦げているようだ

描かれているのは……

ハートのエースだろうか?

十六夜アリス
十六夜アリス
……可愛い
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
感想そこですか……
十六夜アリス
十六夜アリス
ハートは正義だよ
詩理亜が何気なくポケットに入れる。

何気なく

本当に、何気なく。
その瞬間。

カチ、


カチ、


カチ、


カチカチカチカチカチ


時計の針が暴れ出す。

ありえない速さで回る。

時間が壊れたみたいに。
十六夜アリス
十六夜アリス
え……
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
せ、先輩〜……
突如、なんの前触れもなしに

ぴたりと止まる。

時計が指していたのは【 10:16 】。
十六夜アリス
十六夜アリス
……私の誕生日だ
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
そこですか?!
⬆ メモしながら
笑うアリス。

いつも通り。

変わらない。

ぱらりと

机の書類が、ひとりでにめくれる。

風なんて、ないのに。

一枚だけ。

ぴたり、と開く。

失踪者リスト。

昨日までなかったページ。

そこに、印字されていた。

【失踪者:   。】
十六夜アリス
十六夜アリス
……あれ?
名前が、ない。

空白。

ぽっかりと。

不自然に。

まるで、最初から“誰もいなかった”みたいに。
十六夜アリス
十六夜アリス
……インク切れかな?
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
そんなミスします?!
十六夜アリス
十六夜アリス
でも……変だね
十六夜アリス
十六夜アリス
名前が無いと……誰探さないといけないかわかんないや
その時。

詩理亜の背中が、ぞくりとした

――違う。

これ。

“まだ書かれてない”のではなく……

……〝消されている〟のでは……?

まるで

最初から誰もいなかったみたいに。

そういえばさっきのノックもそうだ、

確かに音はしたし気配もあった。

……なぜ?

ではなぜ居なくなっているのか

ポケットの中。

さっきのトランプが、熱い。

まるで心臓みたいに。

どく、どく、と。

その時、アリスが無防備に、

何気なく笑う
十六夜アリス
十六夜アリス
……ねぇ詩理亜ちゃん
赤梨 詩理亜
赤梨 詩理亜
はい
十六夜アリス
十六夜アリス
今日私さ、
十六夜アリス
十六夜アリス
ちょっと……変な夢見たんだよね
次回へ続く

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