今日はとうとう文化祭前日。私の学校では前日から準備日となり、授業がなくなるから文化祭は結構好きだ。
メイドコスプレがなければ。
正直メイド服を着るのには抵抗がある。
先週、メイド服が接客の人達の分も届いてお披露目会的なのをやったけど不安になるほどだった。
接客の人たちも着る、というのが私にとって唯一の救いだった。
当日はメイクの上手いクラスメイトに全部任せてやってもらうので顔面の治安は少しは良くなるとは思うが、イハンくんと並んで歩くんだ。負ける。色んなものに負ける。
明日のことを考えると胃がキリキリしてきたが、準備はしないといけないのでダンボールカッターをザクザク動かしていく。
「おー、やってんねメイドさん。」
その時、テサンが話しかけてきた。
「珍しいね、サボりじゃないんだ」
「俺をなんだと思ってるんだよ」
「サボり魔」
「うん、素直だなお前は。」
そう言い合っているとそこにイハンくんまで来た。
「あっ、テサナ〜僕らのクラス来てよね」
「あぁ、絶対行くわ」
すぐにイケメン二人を見ようと女子が集まってきた。
「2人とも王子様みたい……」
「イハンさんのクラス絶対行こうね!」
とか何とか話し声が聞こえる。矛先が私に向く前にお暇しよう。
「え、ちょっとあなたどこ行くの」
そう言ってイハンくんは私の事を追いかけてきた。
「なんで追いかけてくるの」
「あなたに用事があるからだよ」
そう言ったイハンくんの方を向くと、彼は真っ直ぐに私の目を見た。
「これ、チケット」
そう言ってイハンくんは私の手にチケットを握らせた。
「なんのチケット?」
「部活対抗でバンド出ることになったんだ。」
「ほんとに?すごい」
「それで、1人1枚チケット渡せるんだけど、あなたに見に来て欲しくて。」
そう言ったイハンくんの耳が少し赤くなっているように見えた。
「絶対来てね」
「わかった、見に行くね」
彼は満足そうに笑った。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。