何故戦闘に関係のない料理を学ぶのだろうか___?
やはり、この学校の者は少々呑気な面がある。
これが、かの怪物を復活させんとする我がヘビ一族の最大の敵の姿か?
笑わせてくれる。
一同、自信満々に張り切ってるようだった。
ここは私も、適当に励ましのセリフを言うか。
威勢の良い返事と共に、Mr.赤ちゃんは調理室を出て行った。
数分後、牛乳と思われる白い液体を大量に入れたバケツを持って帰ってきた。
流石のこの事態に、私の頭にはてなが浮かんだ。
この国にはミルクを料理として消費する文化でもあるのか?
わけがわからない。
いやわかりたくもない。
Mr.赤ちゃんはMr.すまないにそのミルクを差し出した。
Mr.すまないはそれをごくごくと飲む。
おそらく搾りたて新鮮なミルクであろう。
それを告げた途端、生徒達は自由に会話を始めていた。
そう淡々とした返事と共に前へと出る。
早々に呼ばれたのは幸運だ。
これなら細工はしやすいしバレにくい。
暗殺計画も順調だろう。
私は冷蔵庫を漁るフリをして、様々な細工を仕掛けた。
リンゴの中に毒、ケチャップ容器の中身をコチュジャンと入れ替える、フグ毒入りエキスを何食わぬ顔で調味料の中に入れる___。
様々なことをやった。
正直、道徳から逆走してる状態だ。
もしも、これを子供が見てるとするのなら。
真似をしないことを願う。
そして、私は何食わぬ顔をしながら予め作っておいたショートケーキをMr.すまないにお出しした。
Mr.すまないは何食わぬ顔をしてそれを口へと運ぶ。
不意ににやけ顔が出てしまったが、この状況であれば「褒められて嬉しかった」とでも思われるだろう。
そんな矢先、「おい待て」と言わんばかりにMr.バナナが口を出した。
______これは少々まずいことになったかもしれない。
あまりに察しの良い連中だ。どう言い訳をするか。
今は思いつかないので、こう返すことにした。
銀髪の青年が前へと出る。
Mr.銀さんはそう言いながら調理室の外を出て行った。
おそらく目当ての具材はなかったのだろう。
私も確認したが、パンやベーコンはあれど卵は無かった。
卵のないベーコンエッグサンドなど、単なるベーコンサンドで味気がないのだろう。
数分後、Mr.銀さんは帰ってきた。
卵を大量に抱えて。
卵やベーコンがこんがりと焼ける香りで教室が満たされる。
彼も人並みには料理ができるのだろう。
そんなことを考えていたら______。
ヴー、ヴー!
ヴー、ヴー!
私の電話の音が鳴った。
独自改造してるおかげで、他の生徒達には運良くバレてはいない。
そうとだけ告げて、私は教室を後にした。
何人かの生徒の料理の腕前は見ることができないが、致し方ない。
最優先は任務なのだから。
誰もいない教室にて。
私は着信したのが誰か確認することにした。
一口に「ヘビ一族」と呼んでも色々な者がいる。
Mr.X様のような偉大なお方から、エウリという変わり者まで。
そう呟きながら私はナイトメア様に電話をおかけした。
私が戻った頃、既に
・Mr.銀さん
・Mr.マネー
・Mr.ブルー
の三名の料理が出し終わっていた。
Mr.ブルーはアイスクリーム、Mr.マネーは金リンゴのサンドイッチ___。
そのどれもが高得点だったようだ。
そして、Mr.レッドが指名を受ける。
悪態を吐きながらも前へと進んでいく。
彼が冷蔵庫を覗く。
先ほど私が詰め替えた真っ赤な調味料を手に取った。
_______は?
Mr.すまないは辛い料理が好きなのか?
あと、ケチャップ無くなってコチュジャンにすり替わってても何も言わない。むしろ喜んでる______?
どういうことだ?誰か説明してくれ。
Mr.レッドはハンバーグサンドに大量のコチュジャンをドバドバとかけた。
そう言って、Mr.すまないにそれをお出しした。
それを口に入れた途端、Mr.すまないは倒れ込んでしまった。
たまらず私もも声を出してしまった。
いかにも自信ありげと言わんばかりの表情をして前へと出てきた。
その冷蔵庫の中身を見て驚く。
嗚呼、Mr.バナナ。
フグ毒は私のせいですのでご心配なく。
なんて言えば私への疑いが爆発的に増えるのは目に見えている。
それにしても、Mr.バナナは手際がいい。
「料理は得意」という自信は伊達ではないようだ。
ものの僅か数分でローストチキンを完成させてしまった。
規格外だ。
Mr.すまないはそれを美味しそうに口へと運ぶ。
淡々とした表情で前へと上がる。
______いや、顔は仮面で見えないが。
待機する生徒の態度がかなり身構えたようなものになった。
私がそう尋ねると、Mr.銀さんが耳打ちで私に教えてくださった。
私の見える範囲なのだが、私が持参した毒林檎やフグ毒入り調味料。
それとエンダードラゴンの頭などをマグマ入り鍋の中に入れていた。
______これは料理ではなく錬金術じゃないのか?
そんな疑問すら浮かんでくる。
完成したものは真っ黒くトゲトゲとした何か。
一口食べただけで、すまない先生は気絶したまま動かなくなってしまった。
あまりに愉快だったので、私は声を張り上げてこう言ってしまった。
調理室内は混沌を極めていた。
教師が倒れるなど、ただ事ではないし仕方ないのだが。
誰もいなくなった調理室内。
あなたの下の名前だけが残り、こう呟いた。
アンケート
Mr.ブラックとMr.バナナに言う言い訳の内容は?
「実際は買ってきたケーキだった」
29%
「生徒のみんなで食べようとしていたケーキだった」
17%
「能力を使って想像してケーキを出してみた」
54%
投票数: 87票
アンケート
夢主ちゃんの能力、どうする?
千里眼
32%
催眠術
24%
毒生成
44%
投票数: 62票














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。