リアム、と自己紹介した男は被っていた帽子を更に深く被った。
前で手錠がはめられた腕を器用に動かして抵抗する。
先程から全ての囚人の横にいる2~3人の看守について言っているのだろう。
おずおずと口を開いた。
周りの囚人を紫髪の女性が睨む。
彼女と囚人は相性が悪そうだ。
囚人も何か言いたげに彼女をじっと睨んでいる。
空気を変えるように白髪の女性が口を開く。
それもそうか、とみんな歩き出した。
横についていた看守は囚人の後ろについて歩き出した。
シャオの両頬をむぎゅっと、親指と人差し指でつまんだ。
彼は目を丸くして驚いている。
反応の無い彼に更に頬を引っ張る。
次第に痛みを感じてきたのか、手錠で自由のきかない手を精一杯に動かした。
ようやく敬語を使った彼の頭を掌でゆっくりと撫でる。
手に少し絡まるふわふわした髪の毛だ。
統一性の無い彼女の行動に彼は少し照れた後、
諦めたようにため息をついた。
とぼとぼ歩く俺らの背中を後ろからついていく青髪の看守。
怖い。
警棒持ちながら後ろを歩かないで欲しい。
てか、なんで俺は捕まってんの?!
いきなりの声掛けに驚きながらも先程起こしてくれた女性...多分、レイナさんに顔を向ける。
名前が合っているか心配だったが、合ってそうだ。
優しく笑ってくれた。
異性だろうがなんだろうが仲間がいるのは安心だ。
1人でずっとここにいるのは絶対無理。
看守どころか他の囚人の人も怖い。
ぶっちゃけ信じれそうなのは起こしてくれた時もだが、ずっと話しかけてくれて優しいレイナちゃんぐらいだ。
そういうやいなや、俺に抱きついてきた。
と言っても手首は手錠で繋がっているため、腕の輪っかに俺を上から通すやり方だが。
初めての異性とのハグ。
慌てふためいている俺とニコニコのレイナちゃん。
俺も腕を回そうかと考えていると
後ろの看守が俺の首にかかっている彼女の腕を上に持ち上げて俺の首から外した。
なんか、もったいなかったかも…………
……いや、これ変態じゃないから!
呼び捨て……?!
いいのか...?
立場が上だからいいのかな...??
進んでいく2人の会話。
俺も入らなければと思い、口を開こうとする。
ん?
最後を見届けてやる……?!
胸ポケットに入ったメモ帳にメモをする看守。
まじでなんだこの、ゴミ看守?!
後ろから反応する白髪の看守。
横にいるしにがみへと笑いかける。
彼は驚いてから首を使って頷いた。
握るだけの握手をする。
看守の手は少しだけ厚かった。
ノゾミはそう言って緩く笑った。
ダラダラ止まらない汗。
泳ぐ目。
静まり返った空気。
ここが地獄なのか考えるには十分な材料だ。
ボソッと呟く。
教えてくれたことに驚いた彼は頬を緩めた。
腰に備えられた弓を持って彼に引き始める彼女。
しょーがない、と言いたげに弓をしまった彼女にほっと息をつく。
呆れている彼だが、さっきよりも口角が上がっていたのはきっと本人も気づいていないだろう。
肩を叩かれ横をむくと横にはゾムという名前の囚人。
ゾムの背中をグイグイと警棒で押す。
それによってゾムは前に押し出されるが本人は気にしてない様子で後ろのもう1人の看守の方へと向いた。
「答えてもいいかな?」という意味を込めてリアムへと顔を向ける。
リアムは意図がわかったのか特に顔も向けずに答える。
その後もリアムを除いた3人で話していたら盛り上がって、リアムに怒られたのは4人の秘密。
黒髪の看守がサラの顔を右横から顔を覗き込む。
そう発言した後、看守は覗き込んでいたのをやめてから「いや、落ち着いてるんじゃなくて危機感がないだけか」と修正するように呟いた。
右上にある看守の方を眺めて質問をするサラ。
名前を聞かれると思っていなかったのか、
拍子抜けしたように口をポカンと開けながらサラに向き合った。
看守と呼ばずにニコと笑いかける。
鳩が豆鉄砲に当たったような顔をしてからニヤッと笑った。
ぴくとの顔を次はサラが覗き込んだ。
素っ気ない彼に傷ついたような顔をする彼女。
看守は前から異議を唱える彼女の声を聞きながら楽しそうに笑った。
髪の毛が短い看守はそう笑って答えた。
彼女の満点の笑顔を見た彼は「...はえ〜」と言葉を漏らす。
あまりにも場違いな言葉にオウム返しをする彼。
囚人に言う言葉では無いだろう。
困り気味に手首を器用に動かして頬をかいた。
それでも少し嬉しいようだ。
顔をコロコロ変える彼女を見ながら彼は楽しそうに笑った。
じたばたと暴れる囚人。
それを抑える俺は大したもんだと思う。
え、そうだよね?
確かこの囚人は24歳...俺の1個下。
そんな男を1人で抑える俺すごくない?
え、さすがすぎ。
さすアキ。
じっと俺の顔を眺める囚人。
え、なに??
無能さが顔にも現れてますよってか?
それにしても酷い顔してますよってか??
うるせぇよ!
……まじでなに???
もごもご言うなー!
聞こえないんですけど?
え、嫌い?俺嫌いなの?
これから長めの間一緒だよ…?
仲良くできないと俺が困るよ...……..?
...てか、資料見た時も思ったけどこいつの顔見覚えのあるような.....
誰だろ。
さ、遮ったー!
遮っちゃった!
やっと話しをしてくれそうだったのに!
てか、なんて言ってた?
聞こえなかったよー!
あ、これ絶対あったやつだね。
どうしよ...
...後で聞こうかな。
それと名前も聞かないと。
なんか、"あの人"に似てるんだよなー
変な奴...




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。