第15話

️️️
623
2024/03/16 12:00













テスト2日前の放課後。

本当なら、家で

真面目に勉強しているはずの時間。




私は なぜか、テサンとふたりで

近くのCDショップに来ている。




taesan
taesan
な、見て、
taesan
taesan
めっちゃかっこよくね?
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
..なんか、テンション高いね笑
taesan
taesan
そりゃ、これずっと欲しかったし









ご満悦な様子のテサンの手に握られているのは

さっき 買ったばかりのバンドの アルバム。








この人は、

学校では本当に ニコリともしない。





クラスのお調子者がふざけていても、

みんな大爆笑の中

1人だけいつも白けた顔をしているし。




だけど、










︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
で、なんで私は連れてこられたの?
taesan
taesan
...なんとなく?暇そうだし
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
いや、テスト期間だし!
勉強で忙しいんだけど!
taesan
taesan
あー、そっかテスト期間...
taesan
taesan
最悪、せっかく忘れてたのに。
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
え、私のせい?
taesan
taesan
うん、あなたのせい笑











だけど、



私といるときの テサンは、

よく笑っている気がする、なんて。

ちょっと、自意識過剰すぎるのかな。










︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
ね、テスト勝負しようよ
taesan
taesan
いいけど、俺 勝つよ?
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
テサンが自信あるの英語だけでしょ笑
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
私、知ってるからね。
数学の小テスト2点だったの
taesan
taesan
...悪趣味だな、人の答案見るなよ
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
見たんじゃなくて 見えたんですぅ〜








CDショップを出ると

あたりは 夕日のオレンジ色に染っていた。

大通りを抜け、並木道に出ると

私が毎日 使っているバス停が見える。








道に沿った坂の上に 私の家があって、

詳しい場所は知らないけど、

その反対方向に テサンの家があるらしい。




つまり、バス停が

私たちの分かれ道なのだ。
 











︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
なんか賭けようよ、
そっちのが面白くない?
taesan
taesan
アイスとか?
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
アイスじゃ軽いって〜
taesan
taesan
軽いってなんだよ笑
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
スタバがいい!
ベンティのフラペチーノ飲みたい
taesan
taesan
ベンティて、1番でかいやつじゃん。
もうちょい気遣えよ笑
︎ ︎︎︎︎︎︎ ︎︎︎︎︎
はーい約束ね、
後から取り消しとかナシだよ








お喋りしているうちに 、

いつの間にか バス停は目の前。

じゃあね、また明日、と言い合って

テサンと反対方向の 帰路に着く。














テサンのサボり癖は相変わらずだ。

数日 休むなんてざらにあるし、

その理由も大したことじゃない。





だから、私なりのおまじないというか。

「また明日」と言えば、

彼が サボらず来てくれるような、

そんな気がして。








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