少し大きな個室に防音材が敷き詰められており
目の前には3枚のモニター
そのうちの1枚は自分のバーチャル姿
モニターの裏は少しコードが
ぐちゃぐちゃになってしまっている
右手にはマウス、左には飲みかけのコーヒー
そして口元近くにあるマイク
懐かしかった時よりもパワーアップしたパソコンや機材
全ては私が幸せになるため
いや、私を幸せにしてくれるための道具
どんな時でも欠かせない大切なもの
そんなものを4年の間手放していたと思うと
少し後悔がある
それでも過去はもう振り返らない
自分の場所に久しぶりに帰ってくる
もう今度こそ誰も傷つけない
私は胸を張って喉の奥から声を出した__
過去なんて変えられない
幸せな人生を歩むには何をすべきか
それは過去ばっか引きずるんじゃなくて
今を最高に楽しむこと
それが幸せの人生、後悔のない人生になるんだ
もう迷わない、彼ら達と一緒なら
いや、どんな困難も一緒に乗り越えてきた仲間となら
もう二度と戻りたくなかったけど
帰ってきたよ
ただいま__
もう戻ることのない場所__end__
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!