喉が渇いて起きた僕は、ホールへ向かいます。
お面は持たず、錫杖だけを持ちまして。
錫杖というのは簡単に言えば長い木の棒でございます。
少林寺拳法の武器の一つなのですが、殺生を好まないそれがし自身はあまり好きなものではございません。
でも、それがしは8UPPERSの中では武闘派ですので、持つようにしております。
それがしがみんなを守らなあきませんので。
ホールに着くと、真っ暗でした。
エースとアーセナルは心配しておりませんが、ジョニーが無事に帰ってきたか、気になりました。
ジョニーは色男なのですが……闘いには向かぬ人でして。
でも、とても良い方でございますよ。
電気を点けて冷蔵庫を漁ったそれがしは冷やして置いた特製ミルクを飲みました。
それがし、少林寺拳法の道場での生まれでしてね、ずっと少林寺拳法ばかりしてきましたので……いつのまにか施設内最強とまで言われるくらい強くなったんです。
しかし、それがしはある方に出会い、初めて勝てないなと思いました。
その方とは闘ったことがないんですけどね。
話に聞いたのは柔道でまあまあ強い方だったそうです。
でも、強くなるのは仲間を守るためだと。
今のそれがしの原点になっている大切な人なのでございます。
錫杖を冷蔵庫に立てかけて、コップを洗いながらそれがしは小さくつぶやきました。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!