教室に口喧嘩をしながら入ってきた二人を、冷めた目で眺めるクラスメイト達。
「またやってんのかよ」
「何時ものことだから慣れちゃったよね」
「ほら席座るぞ!」
周りの声を聞こえないかのように、無理やり凡は叫んだ。
「まぁまぁそんな焦らなくても」とニヤニヤしながらこっちを見ている天那。さっきまでの面影は消えている。溜息を吐く凡の耳元で、
「彼奴等の声を凡がかき消せるわけ無いじゃん」
と言った。
「んなこと思ってねぇよ」
そう言いながらもまだ暗い顔をしている凡に、天那は普段と同じ様に話す。それが凡に良く効いた。天那とは矢張り切っても切れない関係というものだろうか(これを凡に聞かれたら私はどうなるのであろう)。
放課後、居眠りをする天那を揺さぶり、頭を叩き、頬をつねり、起こす。
「いったぁ…」
まだ寝ぼけているようで、言葉には余韻があった。
「お前授業中も寝てただろ」
「つまんないもん」
「夜更かししたな」
「しょうがないじゃん、でもテレビは見てないよ?」
「スマホ見ただろ」
「見たけどそっちに集中できてないもん」
「意味わかんねえよ」
「やっぱり天才の言うことは分からないかぁw」
馬鹿にしたように放たれたその言葉に凡が反応することはなかった。何時の間にか周りには人が居なくなっていて、まるで二人の口論を避けているかのようだった。
廊下を歩きながら、昇降口に向かいながら、コンビニに寄り道しながら、二人は話し続けた。一瞬でも“今”を失わない様に。
そんな努力も無駄になるとは知らずに。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。