周りに“奴ら”がいない事を確認し、三人はペンから再生される声に耳を傾けた。
録音されていた声は低音で落ち着きがあり、男性である事が分かったがノイズ音が酷く、その人物が一体誰なのかは特定出来なかった。
初めて人を殺した感覚が蘇る。
あの時はコネシマやシャオロンを助けたい一心でナイフを突き立てたが頭ではなく背中を刺した記憶がある。
考えられるとすれば、背中越しに刺したナイフが、奇跡的に心臓を貫通した事になる。もし、数センチでもズレたり、他の部位にナイフを突き立てていたらと考えると、寒気が止まらない。
トントンはまだ地面に倒れて気絶している状態。
彼の状態はまだ分からない事が多いが、ずっとこのままにするわけにもいかない。
レコーダーから急に彼の名前が上がった。
突然の出来事すぎて、三人は同じ体制で固まったまま口が塞がらない。
その単語を聞くなり、鬱先生が持っていたペンをロボロは取り上げ、レコーダーに向かって「どう言うことや!!?」と問い詰めた。
落ち着けロボロ。俺も同じ気持ちや。
録音された音声に集中しすぎて、チーノが近付いてきた事に声をかけられるまで気がつかなかった。
チーノはここまで休みなく走って来たようで、ヘトヘトではあったが、時間が惜しいと言わんばかりに二人の手を引っ張って助けを求めて来た。
まずは二人の救出が先だ。
チーノに連れられゾムとショッピの元へ向かう。
レコーダーの内容は信じ難いことばかり。そして、一度に情報を取り込みすぎて整理がつかない。
初めこそ信用していなかった。
何処ぞの野郎からの、“奴ら”の情報なんて鵜呑みにするほどアホではない。
しかし、主の正体が誰なのか分かれば、後はそれに従って行動するしかない。
身内に向けて伝えたいと願った内容から推測するに、声主の正体は決定的だった。
エーミールが生きている可能性があるなら尚更救出に向かうべきだ。
何故従う事が出来るのか?
それはロボロやシャオロンも同じ気持ちと思う。
彼を信頼しているから。
仲間のSOSには、出来そこのない屑でも答えたい。 それだけや。
…__……ブツっ!
作者
この作品も、やっと後半戦です!
いつも見てくれている皆様!楽しんでくれている皆様!本当にありがとうございます!
いつまで続くかなと思っているそこのあなた。後半分ほどで完結する予定です。これからも楽しみにしてくれたら幸いです。よろしくお願いします。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!