魔物に街が破壊されたあの日から、
ヒンメル様は、この街にしばらく滞在してくださっている。
またいつ魔物が来るかわからないため、
街が復旧するまでは護衛をしてくれるそうだ。
それにしても…
今日の空のように澄んだ瞳で見つめられると
吸い込まれてしまいそうだ。
ヒンメル様の目線が、私から外される。
…せっかく、ヒンメル様を独占できてたのに…
派手な女の子たちに手をとられて、
ヒンメル様は歩いて行ってしまった。
はあ…とため息をついて、
近くの花壇に座り込む。
このままじゃ、
あの子たちにヒンメル様をとられちゃう。
なんとかしないと。
驚き戸惑う私に見向きもせずに
フリーレン様は腰を下ろして、魔導書を読み始めた。
フリーレン様も、ヒンメル様と一緒に
この街を救ってくれた英雄だ。
…だけど、いつも無表情で、何を考えているかわからない。
エルフって初めて見るし、なんだか怖いくらい。
私があまりにもじーっと見つめていたからか、
フリーレン様は面倒くさそうに私を睨んだ。
やっぱり怖い。
ヒンメル様はあんなに優しいのに、
この人は、なんて冷たい目をするんだろう。
はぁ、とため息を吐いて、空を見上げる。
ヒンメル様の、気を引く方法……
驚いてひっくり返りそうになった。
そんな私に、フリーレン様が首を傾げる。
こ、声に!!!?でで、出てた!?
は、恥ずかしすぎる!!!!
膝に顔を埋めながら、恥ずかしさで死にそうだった。
勇者様の気を引きたいだなんてことを、
まさか仲間の人に聞かれるなんて…
気まずい沈黙が流れる。
(フリーレン様は気まずくなさそうだけど)
私は顔を少しだけ上げて、フリーレン様を見た。
てっきり、なんでそんなこと教えなきゃいけないの。
って言われると思ってたけど、
フリーレン様は、顎に手を当てて悩み始めた。
私って、単純だ。
ヒンメル様の好物が知れただけで、こんなにも嬉しい。
ルフオムレツが美味しい店なら知っている。
…誘って、みようかな…
よし、さっそくヒンメル様を誘いに行かなきゃ!!

















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!