第28話

28話 最期のありがとう
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2023/08/14 03:56
プリズム
なぁ、後どれくらい続くと思う?
俺は二人に問いかけた。
俺はカイとルビーと右の道を進んでいた。
かなりの時間を進んでいたと思うが、まだ道は続いている。
カイ
お前ら速すぎだろ。少し待ってくれ
カイが後ろから声をかけて来たので、後ろを振り向く。
気づけばカイは俺とルビーとかなり距離が離れていた。
ルビー
俺ら速すぎたか?
プリズム
そんなことはないが……
あまり速くしたつもりは俺たちはなかった。
先を急ぎすぎていたのか、カイに疲労が溜まっていたのか。
それはわからないが、俺たちはカイが追いつくまで待っていた。
だが、十秒経っても全く追いつくどころかあまり進んでいないように見える。
プリズム
おい、流石にノロすぎだろ。そんなに時間は……
カイ
俺だって急いでいるさ。なのに……
カイ
ずっと……追いつけない。まるで、身体が重くなったように……
そして、突然カイは後ろから腹部をナイフで突き刺された。
カイ
ガハァ!?
カイは血を吐き、腹部から血が溢れ出る。
そして、血は地面へゆっくり向かっていき、落ちるのは時間がかかるようだった。
ナイフを突き刺した張本人はカイの身体からナイフを思いきり抜く。
その勢いでカイは地面へと倒れる。
俺たちはカイの元へすぐさま走る。
しかし、途中で走る速度が遅くなっていくのがわかる。
???
俺の近くに来たな
彼が近づいてきたので、姿が現れる。
藍色の髪に黄緑色の瞳をしている。
服は水色のシャツを着ている。
速水
俺の名前は速水はやみ
速水
早速だが、お前らには死んでもらう
プリズム
あいにくそれはできない
プリズム
俺たちは黒幕を倒すからだ
速水
まぁ、そう言っていられるのも今のうちだ
速水
もう一人は戦えねぇし、お前たちは既に俺の能力を範囲内にいるからな
速水は不気味な笑みを返してくる。
それと同時にまた身体が重くなったような感覚がした。
私は剣を振るう。しかし、そこに彼はいなくて、霧を斬るだけだった。
そろそろ体力も少なくなってきていた。
カナデ
やっぱり攻撃したときには消えている
レミリア
霧で視界で確認できないようにして、気配に頼るところをかき乱す
妖夢
今の状態では攻撃を当てるとこができない
どうすればいいのかと私たちは頭を悩ませていた。
そのとき、一人が声をあげる。
愛莉
なら、私に少し案がある
紅葉
本当!?
愛莉
えぇ、だから今あなたたちに一つ伝えるわ
愛莉
私をこうやって味方に引き入れてくれてありがとう
愛莉
すごく嬉しかった
愛莉は私たちにそう言葉を残して、私たちを茨をドームのようにして囲む。
何重にもしているからか、外どころか光すら入ってこないので中は暗い。
カナデ
愛莉?何を……
何故私たちを茨で囲んだのかわからない。
それはみんなも同じだった。
そして、外ではドタドタと大きい音が聞こえてきた。
何かが起こっている。そして、その音はものの数秒で鳴り止んだ。
それと同時に茨は消えていき、明かりが私たちに届く。
そして、外の景色がよく見える。
私はすぐに辺りを見渡し、愛莉がどこにいるか確認する。
すると、そこには……






血だらけになって倒れている愛莉とその近くで立っている霧矢がいた。
霧矢のほうは少し傷ができていた。
私にはわかった。愛莉は死んだのだと。
霧矢
危ない。まさかこの部屋全体を茨で無造作に攻撃するとは……
霧矢
おかげで傷を負ったし、霧も無くなっちまった
私たちはただ突っ立っているだけだった。
あのとき自分を犠牲ぎせいにするとは思っていなかった。
そして、ものの数秒でさっきいた彼女は死んでいて。
だから、脳が情報を処理するのに時間がかかっていた。
そんなとき、隣にいたミアが身体を動かしていた。
ミアはすぐに霧矢の懐に潜り込んだ。
霧矢は突然のことで反応ができていなかった。
ミアは彼の腹部に打撃を入れ、霧矢は身体が吹っ飛ばされる。
思いきり壁にぶつかったので、彼の身体から血は出していた。
そして、彼はそのまま流れにそって地面に倒れる。
彼は気絶したのか起き上がることはなかった。
一応勝ったのだろう。前に進むのに邪魔であった壁もなくなっていた。
喜ばしいことだろうが、愛莉が死んだことによって喜びという感情は出ることがなかった。

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