血が溢れている。
もうそれは治ることを知らないほど大量に。
「げほ、あぁ"…」
「ははは!やっと捉えたぞ、貴様を斬首にしてやるわ」
「こうて…い」
意気揚々と俺の腹から剣を抜き、断頭台へ向かう皇帝と、もうどこからも溢れ出ている血液。
「これほど気分が良いことは無い。貴様の家族同様この場所から首を落としてくれるわ」
あぁ、そうだ。
俺は当時、この光景をこの断頭台の下から見上げていたんだ。
母上と父上が、何となく、わかる気がした。
大切な人に死んでほしく無いと言う気持ちが、
大切な人にだけは生きて欲しいという気持ちが、
心の底からよくわかる。
同時に、父上たちも本当は死にたく無いと思っていたのだというのがよくわかった。
「あぁ……死にたくない…」
朦朧とする意識の中で、そんな感情が俺を埋め尽くした。
「みんな…生きてくれ…」
最期に溢れ出したのは俺の涙とそんな言葉だけだった。
拓実くん、景瑚くんを頼みました。
純喜くんは、きっと混乱して騒いでるんやろな。
あぁ、辛いことを押し付けてしまった。
「碧海…!!」
「れん、くん…?」
最期に蓮くん姿を瞳に抑えて、俺は眠りについた。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!