__민규 side
打ち合わせ中、突然あなたに手を握られてびっくりする。
いつもはこんなことないのに、と思って横を見ると、
あなたの顔は真っ青で目が泳いでいた。
体調悪い?
いや、そんなくらいだったら助けなんて求めてこないはず。
いつもこっちが心配になるくらい無理するから。
だとしたら、、
可能性があるのは今見えてないとこ……
テーブルの下を見ると、テウさんがあなたを脚を触っていた。
途端に怒りが込み上げる。
……でも。
今俺が声をあげたところでコイツは誤魔化すだけだろう。
まずはあなたをこの状況から抜け出させることだ。
あなたの手を取って席を立つ。
あなたはびっくりしてたけど、反発することなくついてきた。
よかった、選択は間違ってなかったみたいだ。
部屋を出る時、テウさんが睨んできたような気がしたけど、無視して通り過ぎる。
怒りたいのはこっちだ、っつーの。
俺らのあなたに気安く触るんじゃねーよ、
いつもの練習室に入ると、あなたは安心したようにそう言った。
信じられない。本当に。
この仕事を愛してるあなたの笑顔が、幸せが奪われないように。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!