「 明けない夜なんてないんだって 」
そう言って笑うやつは、きっと夜を知らない。
俺は永遠に夜が続いて欲しいと願っていた。
俺にとって夜は、“終わらない現実”のことだ。
家でも、学校でも、誰の前でも息が詰まる。
笑えって言われるから笑って、
頑張れって言われるから頑張って、
気づいたら、俺の声はどこにも届かなくなっていた。
そんなある夜、夢の中である少女に出会った。
淡くて綺麗な少女だった。
光を反射するような瞳で、俺を優しく見つめて言った。
「——ここなら、苦しくないよ」
その瞬間、俺は泣いていた。
初めましての少女の言葉が、
どうしようもなく優しくて、
どうしようもなく嘘みたいで。
それから毎晩、僕は夢に逃げるようになった。
現実では息を潜めて、夢の中でだけ、少女に会いに行く。
少女はなんでも受け止めてくれた。
優しく背中をさすってくれた。
それだけで俺の心は少しずつ救われていった
——でもある夜、少女は言った。
「 そろそろ朝が来るね 」
その言葉の意味を、俺はまだ知らなかった。
あの夜に溺れていたから ___
作者です。
遂に12作品シリーズ始まりました
トップバッターは🦖さんメイン「 夜に溺れる_ 」です
ぜひお楽しみください✩.*˚












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!