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第1話

prologue
25
2025/11/15 11:08 更新
桜空見(さくら くみ)、高校三年。

物心ついたときから両親の姿はなく、母方の祖父母に育てられた。

祖父母の家は学校まで遠く、寮もないため、今はひとり暮らし。

勉強は得意。

明るくはないが、人と話すのは好き。

誰かに頼られると弱い。

そして、諦めることを知らない。

「来週、大事な話があるから帰って来れない?」

突如、祖母にそう言われた。

──そして、その“大事な話”は、私の人生をひっくり返した。

「まず1つ目。事故で亡くなったお父さんは…空見の本当のお父さんじゃないの。」

そこから語られた“母・紫苑(しおん)の真実”。

高校時代、ストーカーである同級生に襲われ妊娠したこと。

それでも生まれてきた“私”を守るために、生きるように、踏ん張ったこと。

そんな母を支えるように寄り添い、母と“私”のために医者を目指した、幼馴染の橘煌陽(たちばな こうよう)の存在。

…けれど、彼も夢半ばで事故死。

私は二人の顔を思い出そうとしたけれど、どうしてもぼやける。

写真を見せてもらって、胸が痛くなるほど愛おしくて、悔しくて。

「…なんでだろう。覚えていないのに。」

家に着き、湯船で体を温めても、心の底だけは冷たいままだった。

疲れた私は、布団に沈むように眠りについた。

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