ギィ━━━━
私は屋上のドアをゆっくり開けた。

屋上で当たる風はとても気持ち良く、私は大きく背伸びをした。
シーンと静まり返った屋上に私の歩く足跡だけが響く。
少し歩くと、給水タンクのある建物があった。
私はそこに座り、お弁当を食べようとした…
卵焼きを掴もうとしたら、上の方から誰かの声がした。
私は声のする方を向くと、微かに男の人の影が見えた。
太陽の光ではっきり顔は分からないけど、聞き覚えのある声…
その人は、直ぐ横のはしごで2、3段降りるとそこから軽々とジャンプした。
下に降りた事によって、はっきりとその人の顔が見え、ようやく誰か分かった。
そう、上に居たその人は阿久津先輩だった。
そう言いかけると、私が食べようとしていた卵焼きを先輩は手で摘み、パクリと食べた。
先輩は目を輝かせ、嬉しそうに笑った。
そう言う先輩の顔は凄く嬉しそうで、私のお弁当のおかずを次々と口に運んでいく。
ちゃんと……。
私はその意味を暫く考えた。
先輩と出会った初日もコンビニで……。
その上、昨日も……。
確かに、そう思われても仕方ない。
先輩は少し照れ臭そうに言った。
私は嬉しさのあまり、満面の笑顔で……
そう返事した。
この時、先輩の顔が少しだけ、赤くなっていたような……
そんな風に見えた─────














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。